INNOCENT TABOO Short Shorts / 電話越しの彼女達
Original text:引き気味
『……ぁ、ああぁぁぁ……。アッ、やっ、いやぁぁぁ……』
切れ切れに続いている、悩ましい悲鳴。
アスカのいやらしく苦悶する声。
音楽プレーヤーを聞くようにして耳に当てる、クリップタイプの携帯電話イヤホンからは、幼馴染の女の子の襟元で今リアルタイムに拾われる音声が続いていた。
あの勝ち気な子が可愛い唇をきゅっと噛みしめて、懸命に耐える様子が思い浮かぶ。
「っあ、あ、アスカ……」
聞いているだけで、シンジの息さえも震えた。
胸を押し潰すように湧き起こる興奮。
周りの客達に悟られないかと、シンジはごくごく普通にコーヒーを楽しんでいる顔を取り繕うのが大変だった。
「…………」
隣に腰掛けるユイが寄越してくれるもう一セットのイヤホンに、黙って付け替える。
シンジの携帯が通話状態を保っている相手はアスカのもの。
そしてユイの携帯は、アスカと一緒にいるレイに与えられたものと繋がっているのだった。
尚続いているアスカの淫らな悲鳴から耳を離してしまうのは躊躇われたが、もう一人、やはり向こうで可愛がられているレイのことも気にならないはずはない。
『はぁっ、はっ、はっ、はっ……はぁっ』
激しい息遣いだった。
『―― あっ、ぁ、はぁっ、ハッ、ハァッ……。ぁ、はぁっ、はぁぁぁっ!』
それが耳元いっぱいに広がって、まるで側に顔寄せて聞いているような錯覚を覚える。
レイは見た目の通り、万事静かに過ごすのが好きな女の子だ。
ほんの子供の頃から知っている記憶の中でも、彼女はアスカとは違って、駆けっこだ鬼ごっこだと走り回る遊び方からはいつも一歩引いていた。
陽に弱いアルビノの体質もあって、いつも木陰で見守っている側だった。
だから、こんなに荒い呼吸を繰り返すところをまともに聞いたことなんて、シンジにも滅多に無い。
抱くようになってはじめて、レイの汗みずくになって胸を喘がせる顔を見たと思ったくらいだ。
それが、声だけだから、余計に。
今度はこちらが一歩離れてしまっているシンジに、生々しく想像させた。
狂おしく目蓋を震わせて、何も言葉に出来ずぱくぱくと口を開けっ放しにしているレイの姿を。
『はっ、ふっ、フゥ―― ぅンンン! けっ、ケイタ……くぅんンン……ン!』
(あ、綾波……っ)
乱れに乱れた息遣いから紡がれようとする何事かは、一瞬でまた嬌声に塗り潰される。
らしくもない、あの学校でも指折りの無口娘の喉が放つものだとは信じられるわけもない、黄色く裏返った声。あられもない嬌声。
“Bitch”という汚い言葉すら、頭に浮かぶ。
牝犬を意味する蔑みは、『馬鹿オンナ』と心底の軽蔑と共にアスカが口にした、いつか教材にしたポルノムービー女優たちへの感想だったろうか。
シンジが兄妹同然に育ってきた物静かな女の子に似合う言葉では、なかった筈だ。
それでも、ここに勘違いの可能性は否定される。
綾波レイの声を、碇シンジならば聞き間違えるわけが無い。
『あぅっ、っッ、ああン……んんっ、うんンぅっ! あ、熱いの……ケイタ、くんン……ッ』
―― 考えられないくらい、甘えた声だった。
◆ ◆ ◆ アスカにはムサシ少年。
レイにはケイタ少年。
定番の組み合わせとなりつつある、“レッスン”のパートナー。
コーチ役を仰せつかったからとばかり。本来なら高嶺の花である中学生の美しい先輩達を、その小学生のチビな身長よりも低く屈めさせて、上からの態度で玩具にしまくっている二人だ。
下の毛も生え揃わない内からユイの手ほどきを受けているせいか、いちいち目付きの嫌らしい少年たちでもある。
彼らは学校で与えられた『算数』のドリルを解くよりも余程上手に、思春期の女の子達の堅いガードを解いて、蕩けた喘ぎ声を引きずり出すことに長けていた。
はっきりと言葉にして拒否はせずとも、レイもアスカと同様、毛嫌いしている様子なのだが。
それでも、繰り返し抱かれているとこうも変ってしまうものなのか……。
『声、我慢しなきゃだめだよ。お姉ちゃん』
『ぁ、ぁあああ……』
『ちゃんと分かってるよね? ここ、ちょっと離れてるだけで、表には知らない人がいーっぱい通ってるんだよ』
『え、ええ……』
『優等生』とも渾名されるレイ。
その意味は決して好意的なものではないのに。
その普段の人付き合いの悪さ、無愛想さからは想像も出来ない殊勝な態度。レイは年下の小学生相手でいちいち、たおやかな首を縦に振らされているようなのだった。
『はぁっ、ぁ、ぁ、わた……し……。だけど―― ッ。ッァ、ア! ああっ! だめっ。そこは―― 』
切れ切れになった言葉の最後は、また激しい喘ぎに取って代わられた。
『ンぅっ! ンッ、ンンゥーッッ!』
マラソンの全力疾走中か、とびっきり重い荷物を持ち上げようと頑張っている力みか。それに似て。
喘いで、息を詰めて、翻弄されているのがよく分かる。
『オマンコ、良い……? お外で胸丸出しにされてモミモミされながら、オマンコ後ろから僕に突かれるの……そんなに良い? ねぇ、レイお姉ちゃん』
『…………! ……っ、ッ―― !!』
言葉にも出来ず、必死に頷いているのだなと、そのマイクからの息遣いだけで分かった。
テーブルに置かれたコーヒーカップに手はかけていても、実際に口に運ぶなどもう、シンジには思いも寄らなかった。
聞いているだけで、何もしていないのに。
隣に座る母親と、いつものようにテーブルの下で密かなやり取りもしていないのに。
それでも息は荒く抑えられず、ズボンの前は痛いほど張り詰めている。
『だ……めっ。もう……ッ、もうッ……!!』
(ああっ、綾波。イってしまうの……?)
思わず身を乗り出そうとさえした。
シンジとユイが並んで腰掛けているのは、テナントが多く入ったビルの高い階にある喫茶店の一角だ。
フロアの一方を総ガラス張りにしている窓に面した、見晴らしのいい座席。
ユイに連れられて、ムサシとケイタを入れた子供達が五人、買い物に来ましたという風情でこの近くまで来て。
そして、打ち合わせた通りに二手に分かれた。
お互いを繋いでいる物は、女の子達の襟元にハンズフリーのマイクを仕込んで、こちらが一方的に聞いているばかりの二組の携帯だけだ。
ムサシとケイタ、アスカとレイは、テナントビルが面した大通りから向こう側に入り込んだ小さな筋の奥にいる。
行き交う買い物客達の喧噪はすぐそこにあるが、同じ筋の奥まで入ってこられなければ、まず見付からない。
そんな、“レッスン”向きの場所。
屋外露出の調教をされてしまうには、ぴったりのスポット。
そして、ユイがこの喫茶店のこの席を選んだことにも理由があった。
「……さ、そろそろこっちの席に座ってご覧なさい」
母親と場所を入れ替える。
そこから、そこだけから見えるのだ。
見下ろせば、幼馴染達がいる筋が、奥まで。
「時間もそうだし。二人もそろそろ限界かしらね。……ね、シンジ? アスカちゃんとレイちゃんの、どちらの声が聴きたいかしら?」
「う、うん……」
半ば呆然。
シンジは母の差し出したイヤホンマイクと、今耳に付けているマイクとの間で手をふらふらとさせながら、窓の下に目を釘付けにされていた。
『だめ……っ。もう、だめ……だから……っ』
『おねだり? レイお姉ちゃん?』
『え、ええっ! だめなの、もう。だから……だからっ』
―― 出して。いっぱい、わたしの中に。
ケイタ君の熱い精液をと、押し殺した息遣いで思いを迸らせるように。
イヤホンは声だけは全て、伝えてきていた。
そして、小さく下に見える、ブロック塀に向かって二人並んで手を突いている女の子達。
すぐ背後に半ズボンを履いた少年をぴったり立たせている、赤い髪と、アルビノの髪の色をした女の子達が―― 激しく頭を打ち揺すって、そして崩れ落ちる様だけは、遠目にも確認することが出来た。
その席を、そして店を。
シンジはやがてユイに促されて、やはり後ろ髪を引かれる思いで後にしなければならなかった。
それでもう、アスカ達が今どうなっているかは分からない。
後で合流して、聞いてみるまでは。
けれどきっと、シンジには切り出すことは出来ないのだろう。
―― 僕がいない間、ムサシ君にどんな風に抱かれてたの?
―― ケイタ君とした屋外セックスの『実地訓練』、どうだった?
とてもそんなこと、あの顔を真っ赤にしたアスカやレイには聞いたり出来ないのだ。
アスカはいつも、ムサシ達とのレッスンの後は、居辛くて堪らなくなる無口さに変ってしまって、シンジを睨むのだから。
レイはこの頃、熱心すぎる程熱心なケイタに手解きを受けた後は、見ていると不安になるくらい考え込んだ面持ちで、ぼぉっと物思いに沈んでいるのだから。
アスカと繋がった携帯は、今も通話を切らないままユイがポケットに仕舞い込んで、素知らぬ顔で会計を済ませている。
シンジの耳元には、レイのくぐもった鼻息、ぴちゃぴちゃという子猫がミルクを飲むような舌音だけが聞えていた。
最後に見た路地の奥では、二人の幼馴染の女の子達が、仁王立ちの少年達の前に跪いていた。
顔をその腰の辺りに近付けていた所だった。
自分たちの中に射精したばかりのペニスへの後始末奉仕は、どれくらい続けられるのだろうか。
そして、今シンジたちが空けてきた座席。
そこに、まだレイ達のフェラチオ奉仕が終わらない内に、新しい客が来たら……。
『ね、シンジ? 此処にこの携帯、置き忘れていってみたらどうかしらね?』
立ち際に悪戯っぽく囁いた母の言葉もまた、耳に熱く残っていた。
From:【母子相姦】淫乱美母ユイ【寝取られ風味】