INNOCENT TABOO Short Shorts / フラグ
Original text:引き気味
「なんであいつらなんかと……、シてるんですか」
ぶすっとした顔でそっぽを向くアスカ。彼女はユイが淹れた紅茶を飲んでいるのに、味を楽しんでいる風ではなかった。
憧れの女性が、学校では三馬鹿と呼ばれているようなトウジたちを一人前の恋人として扱っていることに、いたく不満なのだ。
相応しくないと考えているに違いない。
「……あら」
くすりとしてユイは考えた。ゆったりと座るリビングのソファで、しなやかな肢を組みなおす。
彼らをアスカはまるで評価していないようだ。しかし、
「トウジ君たちは立派な紳士よ。女の子の扱い方だってちゃんと心得ているもの。マナちゃんだって―― 」
アスカも知る少女の名を口にする。
ずっと年下、ムサシたちと同じ小学生の少女だが、ユイの生徒としてはアスカよりも先に進んでいた。
そしてその直伝のベッドテクニックをもって、シンジの恋人に立候補しているのである。
躰は本当に幼い。乳房もまだ幼い少年のものと差がないほど薄く、ヒップラインに色っぽさが現れるのとて当分先だろうが。ハンデと言っていい未熟さをものともしない小悪魔ぶりは侮れまい。
マナは既に処女を二つとも、前と後ろとシンジに捧げている。肉体的に未発達であっても、性的な成長はアスカたちの方が遅れをとっているのだ。
あの歳にして、もしもユイが身に付けているようなエロティックな薄レース仕立てで下着を揃えたなら、アスカよりも遥かに娼婦めいて似合うことだろう。
アスカにはこのおしゃまなロリータ娘に強いライバル心と苦手意識、コンプレックスのようなものさえ持つ気配があった。
「……そうなんですか」
負けん気を引き出される名前を挙げられてむっとするも、続けた内容がもたらした表情の変化。それは純粋な驚きを覗かせたものだ。
そう。たかが小学生のチビっ子ちゃんじゃないのと、あそこだって全然ツルツルのくせにと、相手にもしないポーズをとってみせつつ、アスカは警戒している。
言い換えれば評価している。
ベッドへの誘惑の手管もさりながら、男の射精タイミングすらコントロールらしきことをしてみせる「上級者」なのが霧島マナだ。
アスカにはまだとても真似できない。
そのマナが一目置いているとユイは告げたのである。
鈴原トウジや相田ケンスケが「実践式の授業」のパートナー役を務めるときは、あの子もちょっと顔を引き締めて掛かるのだと聞かされれば、
―― ほんとう、なの?
口ではどうあれ、顔には素直に出ていたのだった。
「あのマナが?」
「ええ、本当よ。あの子もトウジ君たちとのセックスを試してくれたのは最近だったけど、良い勉強になったんじゃないかしら」
「……あいつが、シンジ以外に挿れさせるなんて」
いちいち粗雑な鈴原トウジと、典型的なヲタク気質の相田ケンスケの顔をアスカは思い浮かべる。シンジとは全く似通ったところはない。
あの二人を、子供っぽい肉付きの太腿をいっぱいに開いて迎え入れるマナを想像した。
シンジとしていた時のように、うっとりとして男の腰に足を巻き付けたのだろうか。それがマナに出来たのだろうか。
いや、トウジたちにそうさせることが出来たのだろうか?
とても想像できなかった。
自分やレイと同じ気持ちでいるのだから、自分が抱かれるとしたらと同じく―― 仮定して考えるのも嫌だったが―― 渋々の顔でトウジたちに突かせてやっているシーンしか思い浮かばない。
「シンジのセックスは優しいわよね。本当に。マナちゃんもだったけれど、あなたたち位の経験を積み始めた頃にはぴったりの相手だと思うわ」
だから、バージンを卒業したマナが純粋に膣感覚だけでアクメを迎えられるようになってきたら、早めに経験させておきたかったのだとユイは説明する。
シンジとはまた、違う男の味を。
「あいつらの……乱暴なセックスを?」
「あら? 乱暴だなんて、決め付けるようなことを言って。アスカちゃんは、トウジ君たちのスタイルを味わったことがもうあったのかしら?」
私は知らなかったけれど、と。ユイは残念そうに嘆いてみせた。
「アスカちゃんとトウジ君たちが初夜を迎えるなら、私が介添えを務めてあげようと思っていたのに。残念だわぁ」
「おばさまっ!」
冗談ではない。そう憤慨して、自分はシンジにだけだと頑なな態度を変えようとしない少女が、いつも通りの一竿主義を繰り返す。
ユイにとっては、困ったアスカちゃんねと、頬に手を当て困り顔をする話で。さながら食わず嫌いの子供を前にしているようなものだ。
どう矯正していったものか、以前から思案している事でもあった。
「まぁ、アスカちゃんは同級生だものね」
アスカは嫌な顔をして頷いた。
シンジを含めて三馬鹿と日頃から呼んでいた間柄のクラスメイトたちだったからこそ、ここでの『レッスン』のことや、それを自分も受けているのだとは知られたくなかったのだ。
「暴力的なのとは違うわ。そこはトウジ君もケンスケ君も、ちゃんと分かってくれてるもの」
「じゃ、シンジのやり方じゃ何がいけないって言うんですか?」
アスカは、自分を抱いてくれる幼馴染の愛撫に満足している。
発育期にある彼女の乳房は自分で触っても時に痛むくらい敏感であったが、シンジの手が苦痛をもたらしたことは殆どない。
同様に、ユイの手ほどきを受けるまで自分ですらおっかなびっくりにしか触れなかった、デリケートすぎるクリトリスといった秘部器官についても、シンジの指は適切を極める。
シンジはアスカにとって唯一の男であるのと同時に、「上手い」男だった。
確実に快感だけを引き出してくれるそのテクニックを、母親から伝授されたものだと考えるのは複雑であったし、ユイから見れば―― いまだ生娘同然の自分自身とのみ比較して、上手いも下手もないと笑うのだろうが。
「いけないから、ではないのよ。たしかに、ここのところトウジ君達はびっくりするくらい上達してきてるから、先輩のシンジには点数が厳しくなるのだけど」
「シンジが下手ってことはないと思います」
アスカにとって大事なことはそれだけだ。トウジやケンスケのことは関係無かった。これから先も関係があるなんてことにはならないのだから、その二人の評価がどうだろうと意味を持たない。
「そうね」
ユイもアスカが思っていることぐらい分かるのだろう。苦笑して頷く。
「あの子も、アスカちゃんやレイちゃんに見捨てられないくらいのセックスは出来てるみたいだから」
仕込んだ甲斐があったわと、満足そうにカップを傾ける。
しかしユイは、それでは好ましくないと考えているようだった。
霧島マナが、シンジが抱くスタイルに染まりきる前に。その前に他の男とのセックスを経験させておきたかった。
こう語ったことからも明らかだ。
ユイが、恋多きどころではないセックスライフを日々満喫する女性だということもある。
アスカやレイが好まないでいる考え方だと知るからか、今ははっきり勧めてきたり―― また、押し付けてくる女性でもないのが救いだが。
それでも常日頃から、そんな尻軽な性生活をいかに素晴らしいものかと語って聞かせるのだから、いずれ同じ生き方を選んで欲しいと願っているのだろうと察しはつく。
心底善意からであるのだから、始末に負えないと言えた。
手本にさせて欲しいと師事するに当たって言いはしたものの、ユイと同じ貞操観念の欠片もない女になるのは、アスカには御免だった。
「想像することはない?」
「なにをですか?」
「知っているでしょう? 私の教えてる子達はシンジやトウジ君達だけじゃないわ。色んな子がいるの」
「だから……何をですか」
「色んな子達、よ」
意味ありげに潜められた声。
ユイは少女のようにくりくりと輝く瞳で、アスカを覗き込んできていた。
顔と顔は、男と女なら危険な距離。しかし、このユイ相手には同性であっても頬は熱を帯びてしまう。女同士で愛し合い、性器をまさぐり、まさぐられた仲だ。
「あの子の……たとえば、トウジ君のおちんちんはどんな形をしているのかしら、とか。ケンスケ君は女の子体のどこにキスするのが好きなのかしら、とか」
「いやだっ、何言ってるのよ、おばさまっ」
「あら、男の子達は女の子のことなら何にだって興味津々なのよ?」
知っているのでしょうと、再び繰り返す。
挙げたのは、アスカやレイが『レッスン』で顔を合わせる事の多い子供達の名前。
「ムサシ君達くらいだと、ストレートにアスカちゃんに聞いたりして、からかってくるでしょう? あの子達だけだとよく噂してるわ。アスカちゃんのおっぱいはどんな形だろうか、乳首の色は、って」
やはり実際にアスカたちの裸を見たあの二人が、子供達の話の中心になっていたと聞かされても、嫌な気分になるだけだった。
「あいつらのは只のセクハラです」
「セクハラだなんて言葉、まだ知らないのよ。ふふ、知りたくない? あの子達が、アスカちゃんの色んな秘密、どう知りたがってるか」
「聞きたくありません」
「あら、残念ね」
ユイが言うのは、年頃を迎えた男子が知りたがるのと同じで、女の子だって興味を持つのは何もおかしなことではない、そういった理屈だった。
「だから、ね」
優しく促す調子。
咎める者はいないからと、暗にはこめられている。それが分からないアスカではない。
「アスカちゃんも、アスカちゃんの躰も、もう男の子―― 知ってるでしょう?」
「……っ」
相手はユイ。見透かされるのも当然と分かっていても、耳朶まで赤く染まるのは止められなかった。
事実、考えないでもなかったことだ。
特に、クラスメイトの鈴原トウジや相田ケンスケもこの美しい人妻の愛人に納まっていると聞かされてからは。よく知る顔に組み敷かれる美女の艶姿を瞼の裏に描いて、密かな昂ぶりを覚えたこともまた確か。
そんな、罪悪感の付きまとう図星を突かれてしまえば、尚更だった。
「トウジ君のおちんちん。ケンスケ君のおちんちん。想像したこと、あるわよね? シンジと比べて、どうだろうって」
「…………」
返答はカラス瓜そっくりに真っ赤になった顔。
「どう? トウジ君たちのおちんちんを想像して、アスカちゃん、それで自分のお腹の中かき回されるところ―― 一度も考えなかった?」
「おばっ、おばさまっ」
アスカは覿面にうろたえた。
それが何よりの暴露だった。
ほんの気の迷い、ふと我に返れば居心地の悪さを覚えてしまう妄想であったけれど。このままでは洗いざらい、シンジへの裏切りのような気持ちがあったのではと言質を取られて、引き出されてしまいかねない。
焦るアスカが額に薄っすら滲ませた汗を見て取って、ふっとユイはソファへ背を預け直した。
話を元に戻しましょうかと言うと、頬をこれ以上なく火照らせた挙動不審の少女はあからさまにほっとしたようだった。
カップの少しだけの残りが冷えてしまいそうなのにも今気が付いたと、一息で空にしてしまう。
(……それにしても。聞きたくない、ねぇ)
『お代わり、いるかしら?』と勧める片方、ユイはふと悪戯な誘惑に駆られていた。
アスカに話して聞かせてやったらどうなるだろうか。
ムサシたちや、そしてアスカが仲間だと知ったトウジたちの「つもり」。ユイの生徒として淫らな授業に励む彼らが、この美しい少女を同じ立場にあるのならと見詰める、熱を宿した瞳の意味を。
◆ ◆ ◆ 周りにいる小学校の女の子達とはまったく次元が違う美しさを持った惣流・アスカ・ラングレーという、新しいムサシたちの仲間。
彼女は本当に綺麗な、「お姉さん」だった。
第壱中きっての美少女としてムサシたちの学校にまで―― もう一人、クール顔の美人先輩、綾波レイと共に名前が伝わってくる程だ。
そのもう一人のアイドルもまた、一緒になってセックスを学ぶことになるのだと。二人の名前を聞いて驚き、噂通りの美少女ぶりを見せ付けられ、そして仲間になると聞かされて、ムサシたちは有頂天になった。
―― ユイ先生のようになりたいんだ。じゃ、俺たちとも? こんな綺麗なお姉ちゃんがセックスさせてくれるのかよ……!
はしゃぐスケベ小学生達に露骨な嫌悪を見せて。ヨーロッパのお姫様を思わせる豪奢な金髪と青い目をした彼女と、頭のてっぺんからスカートの下にのぞく素足まで真っ白、雪の妖精か何か、おとぎ話から抜けて出来たかと思うような不思議な彼女は、にべもない『NO』を突き付けてきた。
そのつもりはない。ムサシたちとセックスをするつもりはない、と。
『ええ〜っ!? シンジ兄ちゃんとだけスルって、本気ぃ?』
『当然よ。なんでアンタ達みたいに今日会ったばかりの、しかも小学生相手に、その、シてやんなきゃならないのよ』
『……意味がないわ。わたしはあくまで、碇君と恋人になるのだもの。あなたたちとでは無いわ』
『俺たちの方が上手いのに。絶対損だぜ? 姉ちゃん達さぁ。俺たちとした方が絶対気持ち良いって。―― 生も言ってやってくれよ〜』
『まぁまぁ、アスカちゃんたちも、ムサシくんたちも、ね? 仲良くしてちょうだい。実際にパートナーをしてもらうかは別としても、これから勉強は一緒にしていくお友達なんだから』
『感じ悪ぅ』と辟易する彼らを、セックスの師匠である美しい人妻は、少しだけ待ってあげてとなだめたのだった。
じきに分かるのだから。あの初々しい二人も。
セックスの歓びは大勢と分かち合うほどに深く、素晴らしいものになる。
入り口までの手ほどきは彼女たちの希望通り、シンジに―― そしてユイ自らに任せておけばいい。
シンジはたしかにムサシたちに比べれば頼りないが、二人が彼に心を開いている分、導きは容易いものになるだろう。
その信頼を通してこそ、初体験間もない処女も同然の女の子達に、奥深いセックスの世界へと分け入っていく道案内を務めることが出来る。
そして、頃合いはユイが計る。
より深いセックスを理解するための準備が整った二人に、『レッスン』の本番を施すのは―― 。
『つまり、先生』
『へへ、俺たちってわけだな』
ユイははっきりそうだとも違うとも言わなかったのだが、
『シンジだってアスカちゃん達と学ぶことで、ムサシ君達のように男らしくなってくれるかもしれないもの。だからひょっとすると、あの子が全部教えてしまうかもしれないわ』
『シンジ兄ちゃんが完璧にあの綺麗なお姉ちゃん達のカラダ、開発しちゃうって? ……ないない、なってそんな』
『僕やムサシに任せてよ、先生。だって、いくらシンジ君が今よりレベルアップしてもさ』
どうにもならない差ってものがあるの、先生も知っているでしょう? と。二人の小学生は、中学生であるシンジよりもずっと発達した、こんもりと半ズボンを膨らませる巨根を誇ったのだった。
◆ ◆ ◆ (マナちゃんの方は順調なのよね。トウジくんたちに先にイかされちゃったのを、あの子、今度は隙一つ見せないって意気込んでたもの)
同じくらい負けん気の強いアスカだ。その気の強さに火を着けてやればと、ユイは目算を付けていた。
ただ、なかなかタイミングを見い出せないでいただけだ。
確かめてみた通りに、既にシンジの他の男の子達にも―― 性的な意味での興味は持っているらしいのだから、残るはほんの少し後押ししてやる切っ掛けさえあれば良いのでは。
注ぎ直してやったティーポットを手にふと、ユイは思いつきを言い添えてみたのだった。
「そう言えば、この間にね。ムサシ君たちとたっぷり汗をかいていたら、ついお昼の準備が間に合わなくなっちゃって。どうせならそのまま先に夕のお買い物をと思って出かけたの」
昼も買い物ついでに済ませるつもりだったという。
ところが、
「そうしたら、スーパーの袋をぶら下げたトウジ君たちに会っちゃって」
「……それって」
アスカもシンジ伝いで聞いて知っている。母親がおらず、父親と祖父も研究所勤めで忙しい鈴原トウジは、あの見かけで実は家事も一通りこなす。自分と妹、二人分の食事を用意するのはざら。相田ケンスケも似たようなもので、昔からの付き合いのある二人はよく一緒に休日の食事を済ませているとか。
「わたしが用意してあげるって言ったらすごく喜んでくれてね」
普通に聞けばほのぼのとした話も、ふふっと艶めいた唇が先を語ろうとしていれば察しはつく。
ついでにおばさま、自分もご馳走しちゃったんだわ、と。
「トウジ君たちったら、鈴原さんのお宅の台所を借りてるのに、いつもみたいに裸でしてくれって、エプロンだけ着けてシてくれって、ビデオまで持ち出してくるのよ?」
「で、でも、あいつの家だと妹さんもいるんじゃ」
「ええ。手伝いましょうかって、可愛かったわぁ」
「え、ええっ。まさか、おばさま、そんな小さい子の前で」
「ふふ、残念。トウジくんが許してくれなかったわ。まだ早すぎるからって。マナちゃんとそんなに変わらないのにね。それに、お昼ご飯を食べたらすぐに出かける約束があったみたいだったから」
しかし、もしもほんの少しだけでも大きな声を出してしまえば、たちまち異常が知れたに違いない。
鈴原トウジの家は、さして広いわけでもない高層市営住宅の中だ。トウジの妹の部屋から台所まで、そう隔てられているとも思えなかった。
「追い出しちゃったみたいで可哀想だったけど、急いでエプロンに着替えて―― スリルがあったわぁ」
そうして、家人の目を盗みながら行われた、台所での前戯3P。よくもばれないまま、きちんと料理を仕上げられたものである。
昼食をとった後は、その分も増して盛り上がって、淫らな一時を過ごしたのだろう。
しかし午前の分の疲れがあった筈だ。ユイとしては不本意だったに違いない。彼女の理屈なら、万全の持てなしでなければつまり、侮ったことになるのだから。
「トウジ君たちに誘ってもらえて、喜んでOK出したのに、少し情けなかったかしら」
「どうせあいつらのことだもの。おばさまと、その、……セックス、できるだけで有頂天でしょ」
あら、とユイは生徒達の中では新しい少女を見た。
たしなめるように言う。
「アスカちゃん。女の子が自分でも満足のいかないお持て成ししか出来なかったのに、それで男の子が褒めてくれても満足しちゃだめよ?」
トウジたちはそれこそ全力でユイの相手をしたのである。だからユイも全力で応えてこそ、だったのだと。
「素敵なセックスっていうのは、一方通行の頑張りだけじゃ成立しないの。女の子にとってはいつも真剣勝負よ。持てる全てで男の子を歓ばせて上げられるよう、頑張るものなの」
それにだ。トウジたちは最早、片手間に肌を与えてやる気分で臨めるような、そんな「お子様」ではなくなっていた。
子供だと思って甘く見てかかろうものなら、時にユイさえ手玉に取られてしまう。特に二人がかりのコンビネーションプレイはたいしたものである。
随分成長したものだと思う。
思えば、彼らもはじめてユイが男にしてやった時は可愛らしかったものだ。
彼らにしてみれば、ユイは友人の母親。その夢にも思わなかったろう相手から恋人契約をもちかけられ、本当に胸をはだけて見せられた時の、目を丸くしていた顔。
驚きにじわじわと追い着いた理解が、ユイの乳房を目にしたことで少年達に興奮と欲望の首をもたげさせた。
あの時、僅かな震えを振り払って伸ばした手が、女の膨らみに直にあてがわれ、そして乳首には指先がかけられて。はっきりと滾らせつつある肉欲を、こちらにも知らせるまさぐり方に弄ってきた時。トウジとケンスケは「息子のお友達」から変わったのだ。
ユイの中でも。
少年達にとっても意識は塗り替えられた瞬間だったはずだ。
ユイはただ憧れるだけの友人の母親ではなくなった。
その手で触って抱きしめても良い、オンナ。妄想どまりと弁えたつもりで、ひそかに劣情を向けるだけの遠い幻などではなく、望めば家を訪ね、その足で寝室に押し倒しても構わない、現実的な欲望の向け先へと。トウジとケンスケにとって、俺の、俺たちのオンナに、なったのだ。
そうして同時に、ユイにとって彼らは「男」となった。
もう、彼女の家のドアを鳴らしてくれたのを、息子に会いに来たのだと考えることはない。
持てなし方も、軽いお菓子と飲み物を用意してやることではなくなった。
正しい持てなしとは彼らをベッドルームに案内することであり。どちらの少年であれ彼らの前に跪き、取り出してやった若茎の脈打ちを熟女の唇へ迎え入れてやることだった。
「だって、トウジくんもケンスケくんも、私の大事な恋人ですもの」
「こいびと……。おばさまがあいつらのこと、そうやって一人前みたいに扱ってるのは知ってるけど」
コイビトという言葉を、アスカは読みにくい外国の単語を読むように呟いた。
彼女のこれまで培ってきた考え方、恋人という関係への思いが抵抗感を与えているのだ。
「ええ、一人前よ。―― もちろん、あっちの方も含めて、ね」
そしてユイは、とくとくと語って聞かせてみたのだった。
ますます顔を赤くして俯いていく少女に、悪戯な眼差しを注ぎながら。いかにトウジたちの持ち物がたくましく感じられるか。大人とひけをとらない硬さを持続出来るようになってきたか。
そこに引き合いに出したシンジに、ごめんなさいねと心の中で謝ってもおきながら。
「ムサシ君たちのおちんちんは……」
即座に思い出したらしいアスカが、『うっ』と顔を引き攣らせる。
「サイズももう大人のひと並みですものね。アスカちゃんたちには未だちょっと、辛いでしょうけど。あの子達はまた特別だから」
「ガキのくせに……。なんであんなに……」
その目に何度も見せ付けられていても、なのだろう。信じられないとアスカはぶつぶつ呟く。
「シンジにも、栄養のあるものを食べさせなかったわけじゃないんだけどねぇ」
「あ、あいつらはっ、小さい時からやらしい事ばっかりしてるからっ。だからあんなに……その、変なとこだけ成長して」
「……あら? だったらアスカちゃんは、シンジを子供の頃から鍛えてあげなかった私を恨んでいたりするのね」
『はあっ!?』と目を白黒させる少女に、わざとらしくよよと、萎れたそぶりで謝ってみせる。
するとアスカは狼狽しきりに、敬愛する女性へのフォローを試みようとしてみたり、それで思わず変なことを口走ってしまいそうになのに自分でまた焦ってみたりと、
「あ、あたしはっ、シンジで満足してますからっ。その……シンジので。シンジのくらいで、ちょうど良いというか―― 」
「でも、お友達なのにトウジ君たちの方が、その、ねぇ……?」
「ええっ。本当に、そんなになんですか? だってあいつら、シンジより経験したのって、後なんでしょう?」
ドキドキとしながら、垣間覗くように聞かされたクラスメイト男子たちの持ち物話に気を惹かれた様子が。
なまじムサシ達のように、下の世代でありながら成長度で逆を行く少年達に驚かされているからに違いない。
恋人と同世代の男なら。平均としてはどうなのか。そういったことに興味をもっていない筈がない。
なんと言ってももう、アスカも処女とは違うのだから。女の身に、対となる男性のそれがどんな意味を持つのか、実感から考えられないわけではないのだ。
そこでユイは、良い機会だわと言い出したのだった。
「ええ〜っ!? ほ、本気ですか……」
「勿論よ。アスカちゃんもそろそろ、シンジのレベルばかり見てちゃいけないわ。あの子も頑張って勉強してるけれど、もっとお手本にするなら―― 。そうね、丁度良いわ」
「あ、あたし嫌です。あいつらの裸とか、セックスしてるとこ見るなんて」
「そういった先入観も変えていかないといけないわね。わたしの自慢の生徒なのよ? アスカちゃんみたいな今から色々学んでいこうって子に覚えてもらうなら、トウジ君たちが普段してるセックスを見てもらったほうが良いに決まってるもの」
うららかな昼の陽射しが照らすリビングで、上品なティーカップをそれぞれ手にした美夫人と美少女の会話がこれだ。
碇ユイという淫らな生き様を貫こうとする女性に関われば、どれだけ世間の常識的に―― まだしも正しくあろうとしていた少女の抵抗も、儚かったのだろう。
結局アスカは、認めさせられてしまったのだった。
学校では寄れば触れば喧々諤々言い合う仲の鈴原トウジに、見てよヲタクよ気持ち悪いわねと見下している相田ケンスケに、興味があると、ないわけではないと。
うんと認めて、首を縦に振らざるを得なくなったのだった。
From:『INNOCENT TABOO』 寝取られ風味、淫乱美母ユイスレ3