INNOCENT TABOO, case Asuka & Rei
Original text:引き気味
『 彼らのエンディング前夜 〜碇シンジは傍観する〜 』
それはまるで、荒々しく吹き付ける風を孕み、たなびく向きを目まぐるしく変えてはためく紅の旗のように。
あるいはもっと直截に、「連獅子」という歌舞伎の題目で、赤色の長い長い鬘をつけた役者がその髪を振り回しているかのように。
アスカはいっそ荒れ狂っているといっていいほどの狂態をみせていた。
「アッ、アアッ、ンァんッ! アッ、アゥッ!」
大きくうねる上体。ジャンパースカートを脱いだブラウスの上から、もどかしく自分で胸を揉みしだく両手。
嬌声は甲高く、そう簡単には乱れている姿を見せまいとする彼女にしては、随分と飛ばしていた。
朝からだというのにだ。
声が上ずるほどに跳ね上がる繊細な輪郭の顎(おとがい)には、幾筋もの涎が伝う。
「い―― イイっ。シンジもっ……。ね、シンジも……そうでしょうッ? ほらっ、アッ、アアアッ! あたしのっ、なかッ!」
前髪が揺さぶられれば汗が散り、白いブラウス生地にも、まだ登校してもいない内から汗ばみによる透けが広がっていた。素肌の色を、そしてアスカのつけるブラジャーの細かな刺繍細工を覗かせている。
ブラジャーの色はどきっとするほどアダルトな黒だ。
シンジのベッドの横、学習机備え付けの椅子へ、ジャンパースカートを畳んだ上に重ねて置かれているショーツも同じ黒。
趣味がすこし変わったのかと、騎乗位でのセックスに没頭している幼馴染みを見上げるシンジは考えた。
アスカは外国暮らしが長かった母親の趣味に影響されてのことなのか、まだ幼かった―― いや、今よりもっと幼かった頃から、随分と背伸びした下着を付けたがっていたことをシンジは知っていた。
小さい頃から気取り屋の傾向があったこの幼馴染の間抜けなエピソードやら、理不尽な肉体的制裁を受けさせられた記憶だとかとセットになった理由からだ。
それにしても、彼女が好んでいたのはいつも鮮烈な赤だったはずだが、その心境の変化は何によるものか。学校に行こうというのに気合が入りすぎている下着自体もそうだが、タイツを付けるのに下着と揃えたガータベルトで吊るすというチョイスをしているのと同じ原因によるものだろうか。
「色っぽいよ、アスカ」
「そぉ―― ぉ? そうッ、でしょうっ! ンァはぁっ……ッ。い、いいオンナは……見えないところだって、手を抜かないの、よっ」
腰にまたがるタイツの足をガーターベルトの所まで撫ぜ上げて褒めてやれば、下着のことだと分かったのだろう。
「ンッ、アッ、そうよっ、シンジも……突いてぇ」
淫膣を荒々しく抉らせる身悶えに息を切らせながら、嬉しそうにするアスカだった。
たしかに、胸までガードするデザインである壱中のジャンパースカートでなら、すまし顔をしている限りそんな気合の入りすぎたブラジャーも完全に隠せるだろう。
ガーターベルトにしたって、制服をきちんと着てしまえば、外から見て取れるのは別に校則違反でもなんでもない黒タイツの足元だけだ。
体育の授業がある日を避けている限り、校内でスカートを捲り上げるなどの破廉恥行為に及ばない限り、バレる要素は無いと言える。
この朝一番からの情事の痕跡にしても、いい加減取り繕うのにも慣れきっているだろうアスカだ。万事何事もなかったかのように取り繕ってしまえるのだろうと、変な意味だが安心感がある。
だが、シンジにはそれがバレてしまう相手に心当たりがあった。
最短のケースなら、学校に向かう通学路で早速見破られてしまうだろう。
つまり、この美しい幼馴染の肉体を、おそらくは今やシンジ以上に深く服従させているのに違いない、二人の小学生。ムサシとケイタ。
彼らなら自分たちの小学校には遠回りになってでもアスカを待ち伏せしている可能性がある。大いにある。
普段から頻繁にそうしているのだから。
なにしろ生意気盛りな上、小学生だからこその物知らずが転じた恐れ知らず。年齢差による先輩後輩の上下関係だとかは一切気にせず。第壱中学に名高き高嶺の花にも怯むことなく。ユイに認められているのを良いこと、アスカや、今は出産を控えて入院しているレイを、その遠慮のない肉欲のぶつけ先にしてしまっていた。
それが刹那的、目先どまりの欲望ならまだしも、ユイにじっくりと性の英才教育を受けて育て上げられた幼き怪物達だ。今でさえ近隣の学園に噂が轟くほどの美少女ぶりで、そして成長後の美女っぷりが約束された二人に対するムサシ達の執着ぶりは執拗を極め、数ヶ月どころか数年を掛けることになろうと辞さないという、幼い顔に似つかわしくもない根気強い構えで、一枚一枚、少女達の理性を引き剥がしにかかっている。
(さすがは、母さんが愛人どころかセックスのための奴隷にしてもらったんだなんて自分で言い出すくらいの子達だよ……)
シンジの睨むところでは、半端なく強情なはずのアスカでさえ、もう大分ムサシやケイタのえげつない調教セックスに屈服してしまっている気配があった。
ライバルであり、親友であったレイが一歩先に陥落してしまったことも大きかろう。
シンジとの間に限らず、ユイの主催するセックス教室に関わる全員との避妊無しでのセックスをレイが受け入れた理由は、はっきりとは教えられていないが、得意満面で自分こそはお腹の子の父親なのだと主張していた彼らに言わせれば、それは自分達の取り付けた妊娠奴隷契約の賜物なのだということだろう。
―― 妊娠奴隷契約。
それが最初に聞かされたのは、母親であるユイの口からだった。
聞くだにおぞましい響き。現実感のまるでない、ポルノゲームかコミックの中にしかありえないようなその取り決めと同じものを、ムサシたちがアスカやレイにも迫っていたことを、シンジだって薄々とは察していた。
なにを馬鹿馬鹿しいと言い切れなかったのは、他ならぬ母が、ユイが、既に契約を結んでしまっていたからだ。
アスカは違う。レイは違う。母とは違う普通の女の子、普通の感覚をした女の子達なんだと、よもやと思ってはいたものの。ひょっとしたらと万が一を恐れる気持ちがあったのもまた事実。
それほどに、アスカやレイはシンジの見る前で変わっていっていた。変えられていっていたのだ。
その結果がレイの妊娠だった。
「―― ひぅ、ッンンン! アッ、アウッ、もうっ……少し、もう少しっ! シンジも、シンジもっ! ねっ、ねぇっ、シンジもッ。アッ、あぁぁあ〜」
貪欲に貪っているその快楽ごと意識が弾け飛びそうな絶頂に、今にも手が届きそうになっているのだろう。そこへ向けて自分で自分を追い込んでいっているような有り様のアスカ。
彼女を下から見上げ、シンジは考えていた。
(アスカ、変わったよな)
端的に言えば、今のこれもそうだ。
幼馴染だからと言って甲斐甲斐しく朝を起こしに来ていたのは昔からだが、ここ最近はそれがただ起こすのではなく、眠っているところを手で口で愛撫し、そして少女の方から主導しての交媾をもって快感の内に目覚めさせるような、いわば夜這いならぬ朝這い行為へと変わっていた。
シンジの朝起ちを目にしただけで顔を真っ赤にして、ただの生理現象なのだという言い訳も聞いてくれなかった女の子だったのに。
それが今となっては必死なほどにシンジを誘い、煽り、射精を促す。
ゴムを装着していなくとも避妊は行っているという説明だが、果たして本当のことだろうか。
それでいてきっとアスカは、この後ムサシたちの待ち伏せに遭ってしまえば本気で抗うことなど出来ないまま、制服の下に隠していたアダルトな下着を暴かれてしまうのに違いない。
待っているのは、シンジとの睦み合いを済ませた直後だというのに開始される、恥辱に満ちた調教セックスの一幕だ。
そうして、その締めくくりは間違いなく、ムサシかケイタによる美しい先輩中学生に対する膣内射精という形で行われるはず。
訊けばアスカは答えるだろう。避妊はしているから、と。
(でも……)
全身をいよいよ激しくくねらせ、『シンジ、シンジ、シンジっ。ああ……あたし、も、もうダメっ!』と、聞くも悩ましい喘ぎ声でクライマックスの到来を訴え始めたアスカ。
「イクの。アアッ、イッちゃうから……シンジも、シンジもぉ〜!!」
シンジの躯も相応に快楽を得て、腰が痺れるように射精感が高まってきている。
素晴らしい締め付けでそれを促す幼馴染の膣に、熱いマグマを噴き上げてしまうのももう間もなくだろう。
そうでありながら、シンジはまだ考え続けていたのだった。
(学校に行けば、トウジもいるし、ケンスケもいる。二人共もう僕に隠さなくなってる。アスカだってそうだ。諦めてる。今日のアスカは二人に一目見られたら絶対気付かれるに違いないし……僕がいてもコソコソする必要がないなら、すぐに抱かせろって話になるよね)
トウジが先に迫るだろうか。ケンスケが狡猾に出し抜いてくるだろうか。
それとも、二人同時に相手をしろと要求してくるだろうか。
いずれにせよ、アスカは断れない。
二人との関係を結んだのはアスカの方から、それもわざわざ顔を隠してだったというみっともない事実が、弱みになっているからだ。
そうしてトウジも、ケンスケも。アスカの身につけた扇情的な下着を確かめてより掻き立てられた獣欲を、ゴムを付けない生本番行為、膣内への射精という形で責任を取れと要求してくるのだろう。
後は言わずもがな。朝一番にシンジとセックスをしてから立て続けに、アスカは最悪で四人分、膣内に直接射精を浴びせられることになる。
だからこそ、避妊は欠かしていない。アスカはそう言い張るだろう。
―― だけれども?
だったら、どうして、
(そんなに必死に、毎朝みたいに僕に中出しさせようとしてるのさ)
大きく顔を仰け反らせてオーガズムを味わっているアスカの顔は、組み敷かれたシンジからは見えない。
けれども容易に想像できてしまうのだ。性愛のクライマックスに身を委ね、蕩けるばかりの快楽を味わっている最中にしては―― やけに切迫した風に見える顔。シンジにと言うよりはムサシ達によって覚え込まされた技術をフルに使って腰をうねらせ、強烈に膣内射精を促すスタイルでのセックスをばかり求めてきている幼馴染の脳裏の片隅に、父親の誰とも知れない子供を妊娠したレイの存在がこびりついていることを。
だからアスカは変わったのだろう。
それは同時に、ムサシやケイタ、トウジたちにも言える。
皆が皆、お腹を大きく膨らませたレイを見て、目を血走らせているのだ。次はアスカを、次は自分こそが孕ませてみせるのだ、と。
◆ ◆ ◆
暫しの、シンジの部屋に立ち込めていた熱気が冷めきるには幾らか足りない程度の時間を置いて。
身だしなみを整え、取り繕った二人は、ドアを閉める圧縮空気の音に見送られて、朝日の差す第3新東京市立の路上へと飛び出していた。
「もう! また遅刻するじゃないの、これじゃ!」
「それ絶対に僕のせいじゃないよね。アスカだろ? アスカのせいだろ?」
「アンタのせいよ。アンタのせいに決まってるじゃないのよ! あんたがもたもたしてないで、もっと早く―― 」
「ちょ、僕に早漏になれって言うの? アスカは」
「……っッ! バカっ。違うわよっ!! あんたがさっさと起きて、朝にもっと余裕ってものを作っとけば面倒は無かったのにって、言ってるの!」
「そういう仮定の話じゃなくてさ、実際に余裕なんて無かったわけだろ。現実見て合わせて、この場合はやめとくって判断が、それこそ余裕のために必要だったわけじゃないか」
『やめてよね』と、ぼそり。シンジはこの期に及んで他罰的な幼馴染に口を尖らせた。
「なにをよ」
「これ以上、余裕がなくなるようなことはさ」
「はぁっ?」
「ムサシ君たちがまた待ち伏せとかしてたら、僕、見捨ててさっさと先に行くからねって言ってるの……!」
「ッ―― !? あ、あ、あんた、馬鹿ぁ……!!」
内容はひどいものだったけれども、こんな遣り取りこそがかつての二人の日常だった。
今や懐かしくなるくらい遠い思い出のように感じる、「かつて」。
もう戻れやしないのだろう。
レイの大きく膨らんだお腹がそういった取り返しのつかなさの、最たる証だ。
三人の関係も。友人たちとの関係も。もう、以前のようには戻れない。
母親であるユイとの関係も、父のゲンドウとの関係もだ。
(……分かってないと思ってるのかな、アスカ)
慌ただしく支度を整えて家を飛び出していく間際、シンジは思わず注目してしまった。
ゲンドウに挨拶をしていく時の、アスカの態度にである。
(やわらかい声出してたよな。機嫌がいい時みたいな。……ずっと苦手だったくせに)
シンジやユイの教え子たち以外でもう一人、レイの周辺にいる男性。お腹の子の父親である可能性を持っている男。それが他でもないシンジの父親、ゲンドウである。
そして、考えてみれば今朝、シンジが眠りこけている間にまず最初にアスカが接触を持っただろう、一人目の男でもあった。
―― 疑ってしまえば、自分は今日のアスカの膣内に精を注ぎ込んだ二人目だったのかもしれない。
なにしろ、つい最近にレイという前科を残しているゲンドウなのだから。
自分の妻の不行状を放置している情けない男という体で、日夜自宅で行われている乱行とも距離をおいて過ごしていたはずが。いつの間にか、血が繋がらないながら夫婦の被保護者でもあったレイに手を付けていた。
そんな父親が、レイと同じくらい身近に家に出入りしているアスカを、レイに向けたのと同じ目で見ていないとどうして言い切れるだろうか。
寝ぼけた頭でアスカと既に繋がり合っていることを認識した頃には、もう彼女の膣はぐちゃぐちゃに濡れそぼってしまっていたから、誰かの痕跡が残されていたかなど分かりはしなかった。
疑えばきりがない。
それでも、シンジの頬を平手打ちするアスカは怒っているようでいて嬉しそうでもあって、シンジもなんだか嬉しくなったのだった。
From:【母子相姦】淫乱美母ユイ3【寝取られ風味】