INNOCENT TABOO case Asuka & Rei
恥戯慣らし、過激なスキンシップ「ほら、ほらっ。見て見て、アスカ姉〜! 俺のヘソまでそり返ったウインナー、人肉〜!」
生硬い段階でも、子供子供した体つきの中心では異様な長砲身ぶりを見せ付ける勃起。
それを、短パンと下着をまとめて下ろしながら、ぶらんぶらんと振りたて揺らして。
アスカが来たと聞きつけた途端、シンジの出迎えを押しのけてリビングから顔を出したムサシの挨拶が、いきなりでこれだった。
「ちょっ、なにおっ立ててんのよっ。レディの前にそんな見苦しいの。ッ、最っ低ぇ!」
「いひひ、おっ立てて、だって。壱中のプリンセスがそんな下品で良いのかよ。ほら、おっ立て〜!」
「もう、こいつ嫌ぁ……!」
なんとかしなさいよっとシンジの背を押しやって、アスカはリビングに駆け込んだ。
逃げたようにしか見えないのが自分でも癪で、だから誤魔化すというわけでもないが、思い切り顰めた顔で舌を突き出してみせた上で。
音高くドアを閉めて振り向くと、お盆を持ってアスカの分の紅茶を用意したらしいユイが、そこに眩い裸身を見せていた。
困ったような、面白がっているかのような曖昧な笑顔であったが、いつであっても変わらずにユイは美しい。
娘のような歳の少女の前にすらりと全てを晒して、何を恥らうこともなく堂々と。気高ささえも漂わせる、見事な肢体もだ。
「いらっしゃい、アスカちゃん。ふふ、今日も元気みたいね」
「……。こんにちは、おばさま」
慣れないな。胸中ではそう正直に呟いていながらも、アスカの口は自然に挨拶を交わしていた。
もう何年も続けてきたお隣さんとしての習慣だ。
それも、通い慣れた隣家の居間である筈のそこに佇むオールヌードの女性には、ひどくちくはぐな気がしてならなかったのだが。
だがそれも、ユイに言わせれば、もう偽る必要が無くなったから―― いや、より自然な姿を見せることが出来るほどの“仲”になったから、だろうか。
(……やだ、仲ってなによ。あたしったら、なに変なコト思い出してんのよ……!)
―― 素敵よ、アスカちゃん、と。
あの時は目を固く瞑っていたのに、ユイの唇の熱い吐息だけで次にどこに口付けされるのか、手に取るように理解できてしまっていた。
ライバルと同じスタートラインに並びたい一心で、シンジと同じベッドに上った。それも、とんでもないことに彼の母親と一緒に。
確かに、介添役を口にしたユイは初体験に緊張した体をほぐしてくれたとは思う。
しかし、折りにつけ脳裏をよぎってならない疑問は、どうしてあの時の恥ずかしさを思い出してしまう時、まずシンジの顔よりもユイの顔が浮かんでくるのだろうかということだった。
『おばさんもうずうっと、あなたのここにキスしてあげられたらどれだけ喜んでくれるかしらって、そう思っていたの』
そんなことを言いながらあんなに足を開かせてくるなんて、シンジよりもノリノリ―― 積極的だったように思えるのは、どういうわけだろう。
ひょっとして、
(あたし、狙われてた……?)
初体験で、処女のクレヴァスを年上の同性の舌にねっちり情熱的に愛されて、我を忘れあんあんと泣きじゃくってしまった。
その念入りのクンニ愛撫は、昔馴染みの娘が臨むロストヴァージン儀式を少しでもスムーズにといった心遣いだけに留まらない、彼女自身の淫蕩な悦びにも彩られてはいなかったか。
感じやすいのねと揶揄され、自慰の時のお気に入りのやり方から週にどれだけしているのかまで、瞬く間に聞き出されてしまった。
シンジとユイが、マナという小学生の少女と三人で汗まみれに絡まり合っている様を、レイと共に目撃してしまって以来、回数が急激に増えてしまったことも。
嬉々として、根掘り葉掘り。
『し、しましたっ。昨日も……昨日の夜もアタシ、あ、ああっ、お風呂に入ったばっかりだったのにまたパンツ変えなきゃいけないくらい……し、しちゃってたのぉぉ!』
『シンジのこと考えながらシてたのね?』
『うん、うんっ……っんぁ、あ、はいいぃぃっ』
ひと時も口を噤んでいられない程に狂おしく、喉から従順さを迸らせられる。
ユイの舌技、指技は凄まじかった。
ベッドシーツにお漏らし同然の染みを作った股の付け根へ手の平がぴったり張り付いたまま、指が一本二本ともぐりこむ。
じゅくじゅく疼く粘膜の合わせ目をくすぐり回り、沁み出した淫らなオイルに乗って姫丘丸ごとをヌルヌルと撫ぜ回し続ける。
答えを躊躇でもすれば―― 後ろから抱きかかえるシンジが、さわさわとお尻を悪戯していたのよりも数段過激に―― すぼまったアヌスを指に狙わせ、そしてつぷと浅く潜らせ脅かした。
『ヒッ!? 嫌ッ、そんなとこっ! ゆ、ゆびっ、やっ、いやぁぁぁ』
シンジの腕にすっぽり包まれた裸身を思わずもがかせ、その淫母によって捕らえられたヒップをびくりと跳ね上げてしまう。
すると、その分だけの反動で自らぐいぐいとユイの手のひらに擦りあげる格好になった粘膜と秘核が、敏感な少女を激しく悩乱させることに。
そして母親の目配せに心得たシンジが、肌を真っ赤と性愛に燃え上がらせたアスカの肩にあごを乗せ、甘える恋人のように促した。
『僕も聞きたいな、アスカ』と、声は優しいが、ゆっくりとこね上げていた成長期のバストにじわりと握力を込めていく意地悪なテクニシャンぶりは、母親譲りにしか思えない。
『あっ、あっ、あの日の……おばさま達と一緒にいやらしいことしてたシンジのこと、どうしても頭に浮かんできちゃうから……、ぁ、あああ、ああーっ』
『本物のセックスを見たのは、はじめてだったのね?』
人一倍プライドと羞恥心の強い中学生の娘に、幼女がおしめを変えさせられるかの調子でMの字の開陳ポーズを取らせた股の間から。
すぼめた舌先をさし入れやすく、美しいペールピンクの処女膜に溢れたアスカのラブジュースを啜りやすく、そうまばらな飾り毛の載る丘をくつろげさせてしまったまま、口元をべたべたにさせた美夫人が見上げて訊く。
『は、はいっ。だから……、ショックで。おばさまが、おばさまがあんなことされて喜んでるなんて、そんなのって……』
『シンジ、聞いた? アスカちゃんったら、あなたが母さんやマナちゃんのお顔に大喜びで浴びせてくれてた時の、射精おちんちんが忘れられないんですって。うふふ』
『よりによってって気もするけどねぇ……』
つかえつかえに告白しきったご褒美には、一息吸うだけでアスカの意識を真っ白に熔かしてしまうキスが、陰阜に尖ったクリトリスに。
『ひっ、ひはっ、……ぁ、だめっ、ダメぇ……。もう、もうっ狂っちゃう。ビリビリしてくるっちゃうから、そこはぁ―― 』
『あらあら、あんなにちっちゃくて可愛いらしかったクリちゃん、こんなに大きく尖らせちゃって……。んちゅっ、ちゅっ、んふふ……ん〜っ、ちゅっ』
『あうっ、っふぅぅぅ〜ッッ。ッ、ひ、ヒィィィ〜ッッ、だめぇぇぇぇ!!』
そうして、親子でサンドイッチに挟んで入念な前戯を施し、背中から抱くシンジが幼馴染のすべすべとしたお尻に添えた勃起さえ、初々しいアクメの繰り返しでびしょ濡れにしたほど少女を解してから、『決まったわね』と。
まるで晩のメニューを考え付いたというくらいの軽い声で、初夜を同じ顔面射精で締めくくってあげるよう、息子に告げたのだ。
『うわ、大丈夫なの? そんな、いきなり……』
『だっ、だいじょうぶなわへっ、な、ないでしょぉお』
『あらぁ、それじゃアスカちゃん、私のことはちゃんと思い出してくれてなかったのかしら?』
告げて艶やかな笑顔を咲かせてみせて、
『ね、どんな顔してたかしら? あの日のおばさん、シンジの濃い匂いのするシャワーを顔一杯に受け止めて、とても幸せだったのよ?』
幾度と無く息子の精をそのたおやかな美貌に浴びたのだろう。
聞けばそれだけに留まらず、夫の他どころか教え子である幼い少年達の白い滾りにも、繰り返し繰り返し睫毛の長い瞼を、すっきりとした鼻筋からを、すべらかな頬を浸して、ぬるぬると塗れさせてきたという。
それを幸福だと語るのだ。
『お、おばさま……そんな……。し、しんじぃ……』
あまりの羞恥、そして他人の手になる愛撫の打ちのめされるような性感の只中。
性に不慣れな少女に、抗いきれる空気ではなかった。
『シンジも、アタシにそんなこと、させたいの……?』
しまいには幼女の頃に戻ったかのぐちゃぐちゃな泣き顔で、ユイの胸に縋り付いていた。
精気に溢れた牡であるシンジが、破瓜のアスカから抜いて噴射させた熱汁をトロトロと、紅茶色の眉にも粘つかせ垂らす感触。
それがどうしようもなくショックで。
昨日までの、いつも気高くあろうとしていた自分を酷く裏切ってしまった、それは正しかったのかと物悲しく。
『あ、あああ、アタシ、アタシ……!』
『いいの、いいのよアスカちゃん。よく頑張ったわね。これであなたも、一人前の―― 』
泣き縋った胸の、母の如き柔らかさに抱かれて。
四本の後戯の手つきでまた性感を飽和させられつつあったアスカは、本能か何かの唆した衝動のまま、ユイの差し出した乳首に吸い付いていた―― 。
その母性の徴、そしてアスカ自身の晒した痴態にも固く興奮を示していた頂が、今日も熟れた果実酒の赤さで淫らがましく、つんと白いバストの先に尖って彼女を出迎えている。
じっと見つめていると、熱くなった耳元にあらぬものまで蘇ってきそうで、アスカは挨拶を交わしたばかりの顔を気まずそうに背けた。
そうして、
「えへへ……」
邪な期待を隠しもせずにニヤニヤとする悪ガキ面の二人に、再びため息を吐かされたのだった。
◆ ◆ ◆ ――浅黒い肌を持つ小学生、ムサシ・リー・ストラスバーグ少年は、真っ赤になって怒ったり恥ずかしがったりするアスカの反応が、いたくお気に入りであるらしい。
この頃の彼は無駄に半ズボンを脱ぎ散らかしては、いちいちむき出しの下半身を見せに来るようになっていた。
処女を捧げてみせた今になっても、ユイが説いて聞かせるセックス積極肯定論に、いまいちしっくり頷けないアスカにとっては、また碇邸訪問への苦手意識が強まったということだろうか。
碇シンジの家がごく普通の家庭であったなら、何も問題は無かったろうに。
子供向けの英会話教室を自宅で開いている碇ユイのもう一つの顔が、私生活では全裸で殆どを過ごすような自然主義者、そして行き過ぎているとしか思えない性の礼賛者だった。
英会話のレッスンを生徒たちに授ける傍ら、同じだけの情熱をもってセックスの素晴らしさを―― 正しく体当たりで説いているのだ。
霧島マナや綾波レイといったライバルの、積極さを増した動向を気にせずにはいられない状況なのに。
シンジのいるその家に近寄り難くすら感じてしまうのは、競争に参加するという以前で頭が痛いといえば頭が痛かった。
そもそも、つい先日までは、ムサシの意識はいかにアスカの張る鉄拳の防空警戒網を突破して、女らしく張り出した魅惑のバストやヒップにタッチするかに向けられていた。
牡ガキのエロ心としてごく真っ当な、つまりアスカにとっても想定し易いその攻防の内に、そのすけべぇ心で満杯と思しき脳ミソに何が閃いたのか、
『……!?』
げ、と。引っ張られた手で反射的に崩れた姿勢を支えようとして触ってしまった、生硬さだった。
ユイとお茶を飲むソファの右隣に図々しく腰を下ろした密着から、さらに厚かましく這い寄せる左手をスカートの裾前でワシ掴み。
ならばと向けてきたもう片手を利き手並みの精度で迎え撃つ左ジャブ、きっちり両手ともホールドした睨み合いからの、ハプニングだった。
思わず目も点に。
胸に触ろうとする力に目一杯反発していた勢いそのままで、力比べの位置がいつの間にか低空に逸らされて―― 、とっ組み合いから外れた手がかくんとそこに流れた。
ムサシの股間にだ。
ユイがこの後も裸でレッスンなどと言うものだから、恥じらいといった神経が人並みに通っているとはとても思えないスケベ坊主の下半身では、気の逸りも露骨に社会の窓が全開だった。
そこからにょっきりといった按配でそそり立っていたわけである。
その、ナニが。
『いっっ、やッ、……イヤァァァー!!』
当然アスカは叫んだし、あまりの悲鳴に思わず席から腰をずり落としたシンジが同じ男の通じ合いで青褪めてしまうほど苛烈に、反撃を入れもした。
その後はユイに懇々と諭されて、男性の急所とは繊細を旨として取り扱わねばならぬ、あくまで貴重品向けの手つきで等と反省を促されたというのが事の顛末。
責任とって治療を、痛みを和らげてあげなさいと、あの―― とんでもない破廉恥な内容を裏腹などこまでも真摯な顔で言ってのける、ユイのいつもの難題までオチに付いてきた。
以来、ムサシはアスカとの攻防における奇手とも言うべきその戦法を学習してしまったのだ。
◆ ◆ ◆ 「ねぇ、ねぇ。アスカ姉ってば」
「えへへ。えーと、こんにちは、アスカお姉ちゃん」
「……」
ユイの曖昧な笑顔で迎えられて間もない早々なのだが、アスカの我慢は早々とその忍耐力の限界を覚えていた。
(……こいつら、ユイおばさまの英語教室にやって来てるんじゃなかったの?)
無念無想を自己暗示し続けなければならない理由は、彼女が来てからずっとまとわり付き、フルチンスタイルの下半身を誇示してみせているムサシとケイタの二人である。
二人は一応は持参してきていたらしいテキストをテーブルに放ったまま、もっぱらアスカに構ってもらいたがることに専念していた。
もっとも、声にせず吐き捨てた疑問を二人が聞き付けていれば、『なに言ってるのさ』とあの馴れ馴れしい口ぶりで、アスカの心得違いをはやし立てたことだろう。
『俺達も、アスカ姉ちゃんも、ユイ先生の“レッスン”の生徒同士、仲間じゃないのさ』と。
だから、もっと親しく和気藹々とした間柄で過ごすべきだと、そう主張するのだ。
(もうっ、こいつらったら〜。あたしはあくまで便宜上、仕方なくなのっ)
アスカはただシンジとだけ親密にしていたいのであって、ムサシたちと口実以上の付き合いになどなる気はさらさらない。
だがそれでも、ユイに私も生徒にと申し出た手前、大っぴらに彼らを拒絶してみせるわけにはいかなかった。
そこをどうも見透かしているようで、殊更にレッスンの仲間同士ではないかと口にしてみせる小憎たらしさが、アスカには憤懣やるかたないのである。
(あのマナって子どころか、レイまで一緒になって“レッスン”を受けるって言うから。あたしだけ仲間はずれにされないようにってだけなのにぃ……!)
ソファのいつもの席には、アスカのための紅茶が手も付けられずに冷めゆこうとしていたが、下手に座ってしまうと戦術上よろしくないことになるのだ。
見せ付けたがり二人が寄ってくる腰の高さが、丁度アスカの鼻先の高さになってしまう。
アスカとしては、ユイの前での少々の居心地悪さは甘受しつつ、窓際で壁を背に突っ立っているしかなかった。
ツーンと顔を背けて、への字に結んだ口元で無言の無反応を貫く。
一定以上に手を伸ばしてくれば叩き落とすが、余計な反応はかえって喜ばせるだけだと、これはアスカの学習結果。
ユイは何も口を挟もうとしない。
こちらも黙って、ただニコニコと見守っているだけ。
(―― ってか、今度はバカシンジのやつがおばさまの方に行っちゃってない!? おまけになんか、ユイおばさまの方も…… !)
なんとなく、さっきからシンジの意識が自分の方から離れたところにふらふらし始めている気がする。
自分と言う幼馴染兼でガールフレンド兼で、処女まで捧げた女の子が困っているのに……! と目を剥けば、その青い瞳がふと気付く。
先ほどから黙っているばかりだと思ったユイの微笑みが、よくよく見れば不穏なような。
見るほどに何故か、とても警戒すべきもののように思われてくる。
(……な、なんでかしら?)
優雅に紅茶のカップを傾けつつ、無駄な肉付きなど欠片も見られない見事な脚線の素足を、組み替えたり、崩したりと。
そうすれば当然、組み直すたび奥にちらつく危険な場所は息子の、シンジの視線に晒していることになる。
慌てて壁際から把握し直すまでも無く、ユイとシンジの位置関係はと言えばテーブルを挟んで真向かい同士の―― ベストポジションだ。
そう見れば実に楽しげな口元のあれは、さては次第にぐいっと身を乗り出していくシンジの様子にこそ悦んでいたのか。
「ちょっとシンジ!」
「……え、えっと、なに……?」
「なに、じゃないわよ。スケベ!」
「ええっ!? いやっ、そんなわけじゃなくて、その」
「アンタね、わざわざこのアタシが宿題の面倒見に来てやってんだから、さっさと部屋に戻りなさいよ。アンタはあんたの勉強をする!」
しどろもどろで言い訳しようとするシンジに、アスカは溜め込んだ不満を炸裂させた。
「えー? アスカ姉、シンジ兄ちゃんとしっぽりなわけぇ?」
「バカねっ、あんた達とは違うわよ。アタシたち中学生にはやっつけないといけないマジメな宿題が山ほどあるんだから」
冷め切った紅茶を一飲みに、ごちそうさまでしたとだけ言い残してシンジを引っ張る。
母親の淫らな部分がよほど名残惜しいのか、生返事の向こう脛を蹴飛ばすようにして部屋に追い立て、後に続いた。続こうとした。
「ちょっと……、なによ」
そのスカートの裾を引っ張り、二人してぶうぶうと文句を垂れたのがムサシとケイタだった。
放しなさいよとあっさり叩き落とされた手を擦りながらも、しつこく追い縋って、小柄を生かしたムサシが邪魔役のケイタと息の合ったコンビネーションで脇を擦り抜ける。
リビングからのそう広いわけでもない通路で前を塞がれてしまえば、何をしつこくしてるのよと、いくらユイの手前でも抑えきれないものがあった。
アスカのこめかみに、苛々がくっきり浮かび上がる。
「いい加減……!」
そう指をパキパキと鳴らし、堪忍袋の緒を切ってくれそうな二人に座った目を向けて、
(……ずげっ)
途端、やはり直視するには色々とショッキングな―― そそり立っていたり、大きかったり、太かったりするものに顔が真っ赤になった。
(まっすぐ見ちゃうからいけないんだわ。焦点を合わせないように、こう……目は向けてるけど見て無いって言うか、あくまでガン飛ばして睨んでやるのは舐められないためにであって、だけど睨んでやっても見ちゃダメって言うか……、ああああっ!! 意識したら負けよ、アスカ……!)
等と頭の中で乙女心がうろたえだすのをおくびにも出さず、だけどやっぱり、
(ンなモン、押し付けてこないでよー!)
と、マジ泣きしそうなのだった。
子供の癖にやけに成長著しい器官がムキムキと天を向いていれば、中二の少女の乙女心は悲鳴を上げてしまうものなのだ。
―― どうしてユイは止めに入ってくれないのか。どうしてシンジはこう当てにならないのか。
ぐるぐると掻き回される頭の中には、恨み言ならばぽんぽんと出てくる。
しかし、私らしくクールにという解決策は、さっぱり浮かんでこないのだった。
いい加減っ、と。
「その汚いものっ、引っ込めなさいよー!!」
もう殴る。ユイおばさまが見てるけど、殴り飛ばしちゃおう。
そう決めてアスカは拳を固めた。
しかし、そう叫んだ途端に、ムサシ達はニッと嫌な笑い方をしてみせたのだった。
「……だめよ、アスカちゃん」
やんわりとでありながら絶対的な、その制止の主はムサシとケイタの師匠なのである。
愛欲と肉交を神聖視して語る美夫人が諍いに介入してくるならば、何を問題視してなのか。
彼らは良く理解していた。
親同士の付き合いからはじまってもう随分と長く、実の娘同然に面倒を見てもらってきたアスカであっても窺い知ることの出来なかった碇ユイの―― 淫逸な論理の、幼い実践者であるが故に。
「男の人たちにとってもだけど、女の子にも大切なものなんですからね。汚いだなんて」
「だ、だって。おばさまっ!」
「ようっし、んじゃあ洗ってくる!」
ユイの言葉尻に乗ってムサシが声を上げた。
「清潔にしてるのに汚ねぇなんて言われて腹立つけどさ、ここは“れでぃ”にひとまず譲って、男の寛容さってもんを示してやるんだよね。ね、せんせー」
「男だったら我慢って言ってたもんね」
「速攻、シャワーしてくるし。そうすりゃ文句ないよな、アスカ姉!」
「……え、ええっ!?」
文句がなくなるだろうとは、つまりその後で何を受け入れさせるつもりでいるのか。
アスカは条件闘争をしていたつもりはない。
しかし、ユイが彼女独特の教育的見地からアスカの発言を窘め、ムサシが条件のクリアを飲むと一歩引いた態度をアピールしてみせたことで、情勢は変わった。
障害が取り除かれたならば交渉は妥結を迎え、両者は納得ずくの握手を交わすことになる。
冗談ではないと、アスカは焦った。
(握手って何よ。……いや、いやいやっ、ほんとにただ握手するだけでも、こんな奴となんて真っ平ゴメンなんだけどっ)
裁可を下すのはユイだ。
父親の影の薄い碇家を取り仕切る主婦である以上に、“レッスン”の名の下に営む淫靡な秘密クラブの主催者として、彼女が次に放つ言葉が力を持つ。
(おばさまっ……!?)
これまでにも散々に無茶な、そして背徳的な行いに付き合わされる羽目になった経験が、よりアスカを慌てふためかせていた。
つい先日も、ムサシの破廉恥ぶりに憤った膝をその股間に叩き込んだ折、不本意極まる加害責任の取らされ方に遭ったばかり。
それ故の危機感だった。
◆ ◆ ◆ 『―― いいこと、アスカちゃん。痛みが引くまでは他の感覚で中和して、紛らせてあげるの』
ひどく真面目な顔をしてユイは言ったものだ。
『ムサシ君にとても酷いことをしてしまったのだから、心を込めて謝るつもりで、優しく手当てしてあげるのよ?』
男にしか分からない痛みとはいかばかりの物か。
悶絶からひとまず青ざめた顔を振り向かせたムサシをソファに休ませ、アスカはその手を患部の介護に供されることになった。
ズボンを脱いでこれ見よがしに「腫れ上がり」を見せるグンゼパンツの股間を、優しく撫でさすってやるよう、ユイは言いつけたのだ。
実態はと言えば、手淫以外の何者でもない。
『あ〜、痛い、痛い。痛くてたまんないから、優しくナデナデして〜』
『アンタね、何よこれ。も、ぜんぜん元気なんじゃないのよ!』
得意満面でフヒフヒと鼻をうごめかせる悪戯坊主はここ幸いとアスカの繊手に腰をなすり付け、さっさと回復させた勃起を誇示してきた。
不本意ではあるが、眼前での悶絶ぶりに罪悪感を覚えた引け目もあった。
渋々ソファの足元に膝を下ろし、それまでは直視を避けていたムサシの逸物ぶりを間近にしたアスカは、そこで『ちょ、これ……』と息を飲んだ。
アスカが知る男性の器官とは、ただ一人その早過ぎる躯を許し、摘み取らせたばかりの可憐な狭間に受け入れたシンジのものだけ。
そのシンジの屹立させたものに比べ、ムサシのペニスは数段著しい発達ぶりを示していたのだ。
誇らしげに『凄いだろ?』と目元をニタつかせて、寝そべったムサシは、シンジとスルよりもよっぽど気持ち良くさせてやれるのだぜと、腰をスラストさせる卑猥なジェスチャーでもって誘いを口にもしてみせた。
『……ませガキ』
『違うぜ、アスカ姉? オトナって言ってよね。俺の方が全然ケイケンホーフなんだから。アスカ姉にも余裕でイロイロ教えてあげられるっての』
よっぽどこの生意気小僧の急所を捻り上げて黙らせてやろうかとも思ったアスカだが、背後に立つユイには逆らえない。
シンジもじっと、普段は勝気な幼馴染の少女がどうムサシに償うのかを見つめていた。
極力頭の中を空っぽにしているよう努めながら、屈辱に満ち満ちたペッティング奉仕を続けるしかなかった。
それでも次第に手は汗ばみ、じくじくと不快な染みをパンツに浮かせる盛り上がりとの間には、親密な熱が生まれはじめる。
『―― っ、ハッ、ハッ、ハッ、はぁっ』
黙り込んでいようとする分だけ、アスカは次第に上がりだす己の呼吸と、伝わってくる幼いオスの脈動を意識せざるを得なかった。
大きい。そして明らかに太く、長い。
下着越しに触らされているだけで、キノコの傘のように張り出した部分がはっきりと分かる。
シンジを受け入れただけで圧倒されたのに、こんなものを収めてしまったら自分はどうなるのだろう。
ユイがされているように激しく貫かれたなら、壊れてしまうのではないか……。
『んっ……』
次第に別の意味で無口になり、中学生の彼女から見てもさらに幼い少年にポゥと頬を染めながら傅く美しいアスカの姿には、本人は決して認めようとしないだろう―― 被虐のエロティシズムが漂っていた。
気付かないまますりすりと、しきりに制服のスカートから伸びた太腿を擦り合わせている様子に、教え子になり立ての少女を見守るユイは満足げに頷くのだった。
健康的なその太腿の奥では、恋する少年に奉仕する時と同様に、甘美な疼きの徴が湧き出しているに違いない。
その自覚は薄く、性感の昂ぶりも緩やかではあろうが、
(ムサシ君も私の自慢の恋人だもの)
歓びに満ちた男女の営みを過ごすに十分な異性が居て、生命の力に漲るペニスが誘ってくれるのなら、迎え入れる準備が自然と整うのが当たり前なのだ。
息子によって大人への一歩を踏み出したこの愛らしい少女も、やがてそれを理解することになる。
ユイはうっとりと思い浮かべた。
遠くない将来、ユイたちと共に素晴らしき性愛の一時を分かち合うアスカ。
その時にはもう、今のようにムサシ少年の巨根におっかなびっくりの手付きなどして見せることも無い。
進んでたおやかな指を絡め、桜色の唇を捧げて、いとおしく頬張って仕えるだろう、と。
(待ち遠しいわ……)
心待ちの風景を重ねて見やるユイの泉にも、そうして欲情の徴がしっとりと潤いだしていたのだった。
興奮に股間を膨らませた傍らのシンジもまた、ゴクと身を乗り出してきていた。
物心つく頃から家は隣同士、兄妹のように共に育った少女が、母親の愛人を努める少年の足の間に跪く様を、最後まで見届けようというのだ。
『アスカ……』
『な、なによ。こんなこと平気よ、何てことないんだから』
強がりで応じながらも、もはやアスカの目の前の逸物ときたら、起ち上がりは隆々とも良いところ。
(やだ、こんなにボッキしちゃってる。それに匂いが、シンジのと同じ匂いがムゥッとして……)
成人男性であればこのくらいが普通なのだろうかと、アスカは僅かに首を仰け反らせた。
同い年の中学生同士でしかセックスを知らない彼女は、こうも圧倒的な、暴力的な気配さえまとう牡器官を目にするのは初めてだった。
しかもその持ち主は、自分達よりもまだ年下の小学生なのだ。
僅かでも怖気付いたとなどと、悟られるわけにいかない。
隙を見せぬのだと唇を引き絞ったアスカは、再び気を取り直してグンゼパンツの前を睨み付けた。
『良いぜぇ。もっとさ、カリのところしごいてくれよな、アスカお姉ちゃん』
ツボを指示する少年に傍から見れば実に従順に従っているアスカの撫ぜ回しと、より一層の快感を求めてムサシが迎え撃つ腰付きとで、ニチャニチャと広がる染みの音も高く。
手淫の激しさは、ただ少年がマスターベーションをするよりも激しさを増していっていた。
それは不意にムクリと、パンツの腹からエラの張った亀頭をハミ出させもして、
『……ッ、キャッ!?』
飛び散った先走りの飛沫は容赦なく、アスカをも襲った。
『ははっ、たまんねぇや。これ、シンジ兄ちゃんが仕込んだって言うより、ユイ先生のやり方だよな』
動揺する様子に余裕ったらしく“上級者”ぶりをアピールしつつ、ムサシはアスカを褒めてみせた。
『……母さんがレッスンしてるんだから、当然だろう? 僕と寝る時に、僕を気持ちよくさせられるようにって、教えてもらってるんだよ』
『へぇ〜。なに、アスカ姉ってやっぱりベッドの中だと素直になったり、尽くしてくれるセックスするわけ?』
『ちょ、ちょっっとシンジ! こんな子供の前で、恥ずかしいことバラしたりしないでよね』
『お姉ちゃんってさ、その“子供”がもうずっと、あんたやシンジ兄ちゃんよりかスンゴいセックスしてて、ユイ先生だってひぃひぃ悦ばせられるんだって、分かってる? 目の前で見せてあげただろ?』
『―― ッ!』
真っ赤になるアスカに、ソファーの上からじっとりと這わせられる視線は、制服の胸を将来有望に膨らませるバストの辺りや、首筋から覗き込める素肌を、いやらしく品定めする動き。
アスカという紅茶色の髪と青い瞳を持つクォーターの少女は、セックスを覚えた男子の目には当然眩し過ぎるほどに眩しく、性欲を向けるターゲットなのだ。
『こいつだったら、シンジ兄ちゃんのお子様チンポなんて目じゃないくらいの感じまくりで、アスカ姉を昇天させてやれるぜ?』
『な、なに言ってんのよ! この変態っ。あんたとなんて冗談じゃないわ』
その美少女を独り占めで抱いているシンジに含むところをニヤニヤ匂わせて、ムサシは、今この時だけは召使いのように言いなりのアスカに、もっと心を込めて慰めろよとペニスを付き出していった。
堪りかねたアスカが『もう良いでしょ』と音を上げても、ユイは穏やかな表情のままそうねと頷いてはくれず、黙って続けるよう促すばかり。
―― 結局、小学生少年の股間に奉仕し続ける屈辱の時間は、満足そうにムサシが呻いて下着とアスカの白い手とを汚すまで続けられ、アスカは半泣きで手洗いに駆け込む羽目になったのだった。
◆ ◆ ◆ (今度は何をさせられるの……?)
アスカは身を竦ませた。
洗ってくると言ったムサシ達が戻ってきた時に、だろうか。
おそらくパンツを履き直すこともなく、いわゆるフリチンスタイルで廊下を駆けてくるだろう二人を、今度はアスカは拒めない。
それでそそり立たせた股間が迫ってくるのを、文句も言えずに我慢して相手させられる?
(……いや)と、アスカは敬愛し畏怖する碇ユイの思考を辿ろうとした。
その程度、そんな方向性のペナルティではないだろう。
より直接的に、失言の責任を取らせることで、間違いというものを学ぶよう仕向けてくる筈だ。
(アタシがあいつらのを汚いって言ったからだから)
汚ないなどという事はないと、確かめさせる。
そういった意味合いを持たせてくるのは間違いない。
(ま、まさか……)
汚いもの、汚くなんかない、綺麗だと確かめる―― 。
脳裏に駆け巡った幾つかのキーワードが連想を結んで、アスカが豊富に蓄えこんだ知識の一角でフラッシュを炊いた。
それはもう、どこで目に、或いは耳にしたのかも定かではない、女子学生生活に付き物とされた陰湿ないじめの一つのテンプレートだった。
トイレに呼び出された哀れな少女を、取り囲む性悪揃いが脅しつける。
いじめに遭う少女が命じられたのは、悪臭を放つトイレを一人で掃除をすること。
そして綺麗になったかどうかをお前自身にテストさせるぞと、磨いた便器にキスをするよう強制されるのだ。
同じように、
(アタシにもあれを綺麗にしろって、キスしろって言われるんじゃ……!)
喉を突き破りそうな怒張に、えづきながらフェラチオさせられている哀れな己を想像し、アスカは震え上がった。
Original text:引き気味
From:『INNOCENT TABOO』 寝取られ風味、淫乱美母ユイスレ3