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 ふと、君は自分が拳銃を持っていることを思い出した。
 このままこれを持っているのは…さすがにまずいのではないだろうか?
 警察も拳銃を奪われたなんていう不祥事を野放しにするつもりはない。それこそ、他の事件をないがしろにしてでも君を追いつめるはずだ。仮に君が逃げ続けられたとしても、この近辺は警戒地域と言うことになり、君の目的を果たしにくくなることは避けられない。
 まだ非常線が張られていないのは、あの警官が拳銃を取られたことにパニックになり、自分だけでなんとか出来ないかと無駄な足掻きでもしているからだろう。

(しかし、間違いなく一両日中に警察は動く)

 ならば…拳銃を返した上で、警察のために適当な犯人を用意してやればいい。
 ニヤリと某特務機関元司令もかくやと言う笑みを浮かべると、君は男の顔をのぞき込んだ。
 引きつった表情で男が君の目を見る。

「お前に良い物をやるよ」





 数分後、建築途中のビルから離れたところにあるコンビニエンスストアの公衆電話から、君はある電話を行っていた。ダイヤル先は最寄りの交番。

「…そうです、×●△の建築中のビルの方から、パンパンってなんか乾いた花火みたいな音がして。そうです。言われてみれば、映画の拳銃の音みたいな、はい」

 間もなく、君は遠くから聞こえてくるサイレンの音にほくそ笑んだ。
 弾を撃ち尽くした拳銃を枕に、あの男はどんな夢を見ているだろう。その場にまき散らした写真や恥ずかしい液が染みついたティッシュなどから、警察が何を想像するか…。少なくとも、この近辺を彷徨っていた変質者はあの太った男と言うことで解決するだろう。
 しかも、認めたくないがあの男と自分は雰囲気はともかく容貌は似ている。
 さらに拳銃という証拠までその場にある。
 不祥事にしたくない、と考える警察という組織の性格上、あの男の単独犯と言うことで全て終わらせてしまうかも知れない。
 いずれにせよ、拳銃強奪に関してあの男の嫌疑が晴れるには時間がかかるだろう。その時までに、君も目的を果たせるはずだ。

 それにしても…証拠づくりのためとは言え、男に自慰を強制するのは辛かった!!
 運点を1点失う。


 君は拳銃を失った。



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