038
君は勝利した。 熱く焼けたアスファルトの上に横たわったまま、警官は鼻や口から血を流し、小さく呻いている。意識は半分飛んでいるようだが、少なくとも命に別状はないようだ。 さすがに殺人を犯すほど覚悟はしてなかった君はほっとする。 しかし、このささやかな勝利に君は酔う暇はない。 あからさまに公権力、つまりは国家に喧嘩を売ったのだ。 君は今更ながら自分のしたことに後悔をした。 (まずいことをしてしまった…) 目撃者にハッキリと顔を見られる前にここから逃げなくては。 (だが、その前に) せっかくの勝利だ。記念に、何か貰っていっても良いかも知れない。 制服…せっかくだが体格が合わないし脱がせる暇はない。 手錠…もう持っている。 君は三つのものを選んだ。 すなわち、 警棒、拳銃、スタンガンだ。 所持品蘭にどれか一つを書き込め。あるいはなにも持っていかない…それもまた君の自由だ。 持っていくにしろ、そうでないにしろここにいるのはまずい。 そそくさと君はその場から立ち去った。 |