What happens in GATE, stays in GATE:01
Original text:引き気味
『 魔法の力で異世界無双。魔導少女のやりたい放題、淫ら探求 〜初級編〜 』
日本の首都ど真ん中で起きた、俗に言う『銀座事件』。
負傷者、行方不明者を除いた、判明している死者の数だけでも一万を越える、未曾有の大惨事である。
であっても、たとえ同じ日本という国の中で起こったことであっても、直接見聞きしたわけでもなくテレビやネット経由で知っただけの人間にとっては、どうせのところ他人事だった。
それがどれだけ悲惨な出来事だろうと、あくまで自分とは関わりないところでのこと。無意識の内に、そんな区別で肌感覚からは切り離してしまう。
言ってみれば、殆どドラマや映画と同じ括りだ。
自分たちの暮らしと地続きである「現実」とは、分離している場所でのことだと。その時のその時の口の端に上る、話題どまり。
「現実の」と但し書きが付いているからには『怖いわぁ』と言いもする。
しかし、来る日も来る日も被害の中心地からの中継が垂れ流され、犠牲となった人々の無念を代弁しようとでもいう情感たっぷりな演出がまぶされた報道が続いた結果、人々は早々に飽きてしまったのだった。
――幸いにも、自身や身の回りの人間に被害のなかった大多数の国民は。
場所が国の中心地、首都でのことでもある。加えてそれ以上に銀座が今や国家戦略に関わる重大拠点と化してしまったため、復旧は急ピッチで押し進められた。少なくとも被害そのものを留める風景は驚くほど速やかにその〈門〉の周辺からは消え去っていった。
そして、血なまぐさい惨禍としての側面よりも、現実に出現した異世界との交流――ファンタジー小説や映画さながらの魔法であるとか、物珍しい生き物たちという、人々の好奇心に訴えかける利益面の話が中心になった頃、当然のなりゆきとして芸能界は来訪者たる彼女たちとの「特別に親密な関係」の構築に腐心するようになっていたのだった。
◆ ◆ ◆
ファンタジー世界である門の向こう側。その『特地』からやってきた美しい魔法使い少女のレレイ・ラ・レレーナ嬢といえば、テレビ局への送り迎えにも政府の強面の護衛が張り付いているほどの重要人物である。
本物の魔法を操ることが出来るという他に無い「売り」を持つ美少女。
これだけでも、タレントとしての価値は額面で置き換えることが不可能なほど。他に替えのない唯一無二のものであるのだが。それ以上に、なにやら〈門〉にまつわる重大なコネクションをすら持つという。
官邸にもフリーパスで出入りが出来るのだとか、新たな冷戦に突入しつつある東西の大国、超大国が、非公式ながら国賓級で招こうとしているのだとも囁かれる。
テレビ局界隈では有名な噂だった。
今でこそ、ニュース番組やそれなりに真面目な企画であれば定期的に出演してくれており。つまりは事実上のタレント活動もしてくれているのだが。その契約を取り付けるまでは、ひとたび来局ともなれば、編成局長、報道局長といった幹部クラスはおろか、社長会長までもが玄関に並んでハイヤーのドアが開くのを揉み手で待つという、異様な有様だった。
それを男はよく覚えていた。
歳の頃は十四か十五。ジャリである。
ぱっと目を引いたのはエントランスの照明に輝いていたプラチナ色の髪。顔もなかなかの美形。ショートカットとセットだから、売り出すならユニセックスに少年然とした衣装を合わせるのも面白かろう。女性からの人気も期待できる。
咄嗟にそう算盤を弾いたものだった。
杖を片手に、外国のお坊さんじみた白い貫頭衣。すっぽり首から下を覆ってしまっていたが、千人万人の女優からアイドル未満までを撮ってきた男の見抜いたところでは、体つきは残念ながら貧弱そのもの。それも、歳が歳だけに先に期待といったところだろう。
後に水着姿での撮影も受けてくれるようになった辺りになると、睨んだ通りと答え合わせが出来たのと同時に――白磁の色をした肌ツヤの良さや、儚さでプッシュできるスリムに均整の取れたプロポーション、ささやかながらまず美乳と言って良い胸の形には、それはそれで高く売れるなと。男はそう値付けをしたものだったが。
だが、気配が違う。
そこらのジャリタレとはまるで違った。
それどころか、泥水を啜るが如き真似までして芸能界の裏表を泳ぎ、スポットライトの当たる場所を手に入れたレベルの「本物」たちと比べたとしても、明らかに違っていた。
言う慣れば紛争地帯の歴戦の少年兵だろうか。いいや、似てはいるが違うだろう。治安が最悪なあたりで買える少女娼婦にも、いざとなれば凄みのある目つきをしてくる娘はいたが。普段は素っ気なさすぎなぐらい素っ気ないのに、逆鱗に触れれば前置きなしでトラウマになる程の本能的恐怖を煽ってくるような、あんなタマは、根本からして全くの別物だ。
人を殺すほどの魔法を操り、実際に殺し、ドラゴンとの戦いまで経験しているのだと言うのである。所詮は小娘だろうなどと、舐めて良い相手ではなかったのだ。
そのことを証明する事件が起きてから、やっと思い知った連中が多かったようだけれども。ヤクザどころか政府がバックについている時点で、そこらの判断のつかない半端な遊び人気取りがちょっかいを掛けて良いわけが無い。
つまりは――。金の卵にしても小山並にありそうなそれを容易く生み出すVIPタレントにして、同時に核爆弾さながらの取り扱い要注意人物。
それが、レレイというこのファンタジー世界から現実へやってきた娘に接する現場スタッフたちの、骨身に染み込まされた認識だった。
対して、男はほぼ局付きといって良い待遇を受けているだけの一介のカメラマン。
ここに至るまでいくらかは上手く立ち回り、いくらかは箔の付く仕事もこなして、多少は局内でも大きな顔が出来るようになっていたにしても。歳を重ねる以上に積み重ねを増やし、いつしかベテランと呼ばれる立場になってはいても。とどのつまりは局本体の社員たちに便利使いされる下請けの一人でしかない。
使い勝手に信頼性のある機材であり、その一方でいざとなれば切り捨てても痛くない。
だから、ほとんど人身御供にされるのと同様に、選ばれたのだった。
貴族に仕える下働き。そのようなものなのだなと、堪能な日本語で幾度かやり取りを交わす内に理解したらしい彼女は、理不尽にも耐えねばならない境遇をある種の共感で受け止めてくれたらしかった。
旨い分け前に預かれる機会があるからこそで、そうでもなければやってられないさと答えれば、大きく頷いていた。
ありきたりの駆け出しグラドル相手の話だったなら、これを端緒に親密さを深めていって――その内食ってやろうと、そう目論見もするところなのだが。
男は自分を分別のつく大人だと考えていたし、そうでなければ立場を失うだけでは済まないことを重々承知していた。
局もそう評価していればこそで、その判断通りに男は振る舞い、現場は上手く動くようになった。
だからなのか。男はいつしか、レレイ・ラ・レレーナを撮るとなれば指名で呼び出される立場へとなっていた。
(まぁ、お行儀よくしていれば役得もいいとこなんだけどな?)
夏のビーチに見立てたセット。水着での撮影に臨む彼女のためにカメラを構える。
衣装係やプロデューサーが普段の仕事の感覚で際どさを追求しようとすることを、黒服の護衛達を背景に許そうとしなかった彼女の、きわめて常識的で清楚なだけの白いワンピース水着姿。そこに、ストロボと共にシャッターを切っていって。
(……む?)
ふと、軽い目眩にも似た感覚が頭の中をよぎっていく。
男はまたその「役得」の機会が訪れたのだと悟り、仲間達にも一切明かさないでいるこの優越感に、唇の端を吊り上げていた。
どんな魔法なのかは知らない。
局スタッフやアシスタントカメラマン、護衛たちが取り囲んでいるはずの撮影現場で、前触れもなしに一切のざわめきが消えてしまう。
機材はそのまま、被写体のレレイ嬢とカメラを覗き込んでいる自分以外、人間が誰も居なくなる。
そういった、世にも不思議だったり奇妙だったりする別の世界、異空間に紛れ込まされたかに錯覚する一時が到来する。
美少女かと問われれば間違いなく誰もが首は縦に。しかし、腕利きの人形師が作り上げたビスクドールさながらに造形はとびっきりでも、表情が硬質すぎる。どんな話題を振られたとしても、反応はどうにも平坦。勿体無い。そんな風に皆が口を揃えるこの異世界出身のクールすぎる才媛が、ふっと薄く、口元に浮かべた笑みを向けてくる。
ぞくりとさせられる、というやつだ。
そうして、局内の一スタジオでありながら異様な貸切状態。ただ二人だけしか存在しなくなっているという現実離れした空間になった撮影現場。片手では膝に置いた魔法使いの杖を一時も手放そうとしていないレレイ嬢が、ビーチチェアに改めてしどけなく背を預け直す。
男に向けていた視線を何事も無いかの仕草で素っ気なく外して、暫く気を持たせるようにしながら。ついと白い繊手を伸ばす。腰の方へと。
そのまま何でもないかの風で、自分という男がいる目の前であるのに、水着の股布を直してみせる。
そのあっさりとした仕草の内にだ。この爆弾扱いのVIPであるのと同時に、未成熟の危うい魅力を秘めた美少女の手元では、カメラに映るべからざるピュアな桜色をした性器が見せつけられていたのだ。
すべらかな素肌の、特に日焼けしていない部分。やわらかそうに盛り上がった恥丘から、軽く開かれた太腿の間へと向かって、すっと一筋に刻まれた異世界美少女の亀裂部に。男はすかさずシャッターを切った。
パシャリというその音が、さっきまでの大勢の人間の気配を一気に失った空間にやけに大きく響き渡る。
「……っ」
幼さを残しながらも怜悧な美貌。そこにさぁっと火照りを浮かべ、また彼女は股布の位置を直した。
今度は一瞬ではない。しっかりと、銀色をした生えはじめの――よほどカメラをズームにしなければ分からないくらいのヘア以外はツルツルとした陰阜を、ほとんど全て剥き出しになるまで。横に水着をずらしてみせる。
それで、はっきり露呈されてしまう。この、映画の中から抜け出してきたかとさえ思わせる美少女が、異世界人であってもやはり備えていたセックスのための生々しく卑猥な器官が、端から端まで丸出しで。
その場所は、こちらの世界の少女となにも変わらない。歳相応の趣だ。
中学生ぐらいの娘なりの、まだ小淫唇のはみ出しもほとんど無い、無垢なスリット。
男の知るようなロリコン連中なら、狂喜してそこにしゃぶりつきたいと欲するだろう。禁忌めいたエロティックさの眺めに、またパシャッとシャッター音が鳴り、フラッシュが瞬く。
流出させれば、世界に轟くスキャンダルだ。
(この写真一枚で、どれだけの金が動くやら)
彼女は無知ではない。「銀座側」と呼ばれるこちら側において、自分が肌を晒すことがどれだけうず高く積み上げられた金貨に等しい価値を持つのか。分からない娘ではない。
向こう側で仮に指折りの娼館を一晩貸し切りにしたとて、今のレレイ・ラ・レレーナが要求することの出来る額には及ぶまい。
本来は研究のためにやって来たのに。今や声望は当代きっての歌姫か舞妓か。歌も歌わなければ舞いの一つも踊れないにも関わらずという、浮ついた注目の集められる立場。
すっかりと祭り上げられてしまった自分についても、臆することなく『面白い』と評していたその彼女が、仮に値付けをするのならば――。最上級の額を吹っかけて然るべき、最も秘すべき場所なのだ。薄い布切れをどかしてみせた、その下の部分は。
そこを無造作に眺めさせ、しかも残る形で写し取られて。だのに彼女は容赦なく切られたシャッターの音に、堪能するかの体で軽く頷くのである。
そうしておいて、
「んっ……」
彼女は不意のボーナスのさらなる追加とでも言うのか、細くしなやかな人差し指を伸ばし、自らの繊細な割れ目へとひっかけた。
つまりは、くいっと片側の土手肉を。
(おおっ)
もう幾度も堪能させて貰っていても生唾を飲まずにはいられない男の眼差しに、秘唇を開いた内側の眺めすらも許可してくれる。
粘膜の美しいピンク色はまさに乙女の清らかさ。何もせずとも隙間にちょんと顔覗かせていた包皮がクレヴァスのはじまりにある根本までの姿を現し、指を掛けられた側の花弁ともろともに形を片側へ歪められているのを、フラッシュの光はレレイが身動ぎするたびに何度も繰り返し打ち据えた。
「ん……、ンンッ」
一ポーズにつき一度、シャッターを切る。それがいつの間にか二人の間で定まっていたルールだった。
だからレイが大きく胸を喘がせ身じろぎすれば、それで一回。つるりと外れてしまった指をもう一度ラヴィアにあてがえば、また一回。
一級の陶磁器にも負けない白い肌をほんのりと紅潮させはじめた異世界の少女は、寝そべるのに近いほどビーチチェアにもたれかかったまま、もうそこを男に見せ付けるためだという意図も露骨な開脚ポーズへと、姿勢を変えてしまっていた。
肉付きの薄さがいまだ女になる以前の躯であることを示している下肢を、淫らにM字姿勢で割り開き。人差し指と親指とを使い、ちんまりとしたベビーピンクの花唇を自ら進んで左右にくつろげる。
とろりと淫蜜のしずくが垂れ落ちた。
「はぁ、ぁ……」
清らかさをこれ以上なく証明しながら、同時に男の獣欲を煽り立てて仕方のない処女膜をすら晒して、その直後のシャッター音に、レレイは喘いだ。
一ポーズに付き一枚の撮影が、それがもはやどちらにとっての制限なのか。
美貌ながらも感情無き無機質のものさながらだった色白のかんばせに、次第に陶酔するかのうっとりとした表情を浮かべていって。レレイ・ラ・レレーナは、また次の、その次のシャッター音をねだるとでもの様子で、淫らにポーズを変えていった。
そうしてこの、現実から切り離された異空間が生み出されて、どれだけ経ったのか。
レレイはビーチチェアから差し出すかのようにして下半身をずるずるとはみ出させていき、そのだらしのない姿勢で自慰に耽けるところをまで、男に撮影させていたのだった。
「んぁ……、ぁ、あぁ……」
椅子の縁に辛うじて引っかかっているのみという位に、未成熟なヒップがせり出してきている。
その、引っ掛かっている真下辺りにビーチサンダルの踵を入れてしまうほど膝を曲げ、くんっと下肢を屈曲させて。それで、ワンピースに臍のくぼみが浮かんだ腹部から下、太腿、膝まで一つ連なりのカーブになり、弓のそれと似た風に引き絞られる。
ぶるぶると打ち震えている。
さっきはスタッフたちの際どい要望を少しも聞き入れようとしなかったのに。それ以上を、今は自分からサービスして。痙攣を繰り返す両脚の付け根、肉欲を募らせきって淫蜜にまみれた女の部分を、男のカメラに向かいあけすけにおっ広げてみせているのである。
清楚一点張りデザインのワンピースであっても、肝心の部分を自ら丸出しにしているのでは世話はない。
「はぁ……ぁ、ぁ……。はぁぁ……」
少女の一番の聖域を覆い隠す役目から完全に脇へのけられてしまった股布は、レレイの鼠蹊部で伸び切っていた。
その横でくちゅくちゅと踊る白魚のような指先が、甘やかな快楽をかき混ぜ続けている。
なだらかな胸元でも、ツンとエロティックに尖った乳首のかたちが浮き上がっているのが見えた。成熟した膨らみはなくとも、代わりに男の劣情にアピールするのに、これはこれで十分な眺め。
普段は言葉少ないこのクールビューティーの少女だ。それが全身をふるふると愛らしく震わせ、押し殺した喘ぎでもって、今の快感のほどを表現してみせているのである。
「あ、あっ……、い、悦い……」
熟練のピアニストさながらに右手の指五本を駆使し、特地の寡黙な少女魔法使いという固定されたイメージで知る世間では思いも寄らないだろう程、淫らに。
カメラを構える男からすれば小娘と呼ぶしかない歳の自分の痴態が、どれだけ男を煽っているかを正しく把握しておいて、尚も更に挑発するかの痴態を。レレイ・ラ・レレーナは浅ましく加速させていく。
もはやビーチチェアに何箇所も垂れた跡を作るくらい、トロトロの淫蜜まみれ。照明やカメラのフラッシュに卑猥にテカるぐらいになったピンク色花びらの秘苑を使って、粘つく水音も盛んに、オナニーショーを演じ続ける。
滅多に微笑みもせず、幼い容姿ながら口を開けばどこの大学教授かというほど難解な言葉を駆使してみせる。その横顔に見とれたファンたちが囁きあう『あの娘はもうオナニーを覚えているのだろうか?』だとか『特地風のやり方って、どんな風だろうか』という下卑た関心への回答がこれだ。
もしも見せてやれるとしたなら、(どれだけ喜んで金を差し出してくれるねぇ)と惜しくも思う。この業界ももう随分と長くなった男の、サガのようなものだった。
包皮の先端から物欲しげな姿を見せはじめた雌蕊を、皮ごと摘まんで。ひと味違うほどの刺激が得られるからだろう。ヒクンと震え、一度ごくりと息を飲んだ後は、華奢な顎先を繰り返し跳ねさせながら、くちくちとそこをくじり続けるのだ。
――皮オナニー派か。
いよいよ愉快になってきた男は、このおっかない大物お嬢さんに気安い声を飛ばすのだった。
「あんた、むっつりスケベにも程があるだろ」
「……それほどでもない。慎みの大切さはよく心得ている」
むずがる赤ん坊にも似た喘ぎを織り交ぜながらの、その答え。
しかしだ。魔法使いの杖を握りしめる左手にもぎゅぅっと力が込められているのが見て取れれば、この知識人特地側を一人で担っているとも言える娘の肉体が、実はどれだけ性感豊かに発育しているかは容易に窺えるというものだろう。
男を受け入れた経験が無いというのなら、それはでは女相手に目覚めさせられたとでもいうのか。
一から全部自分で開発してのけて、ここまでになったとでもいうのか?
(それはそれで、恐れ入るというか。大した好奇心だというべきか)
無論、レレイ・ラ・レレーナ嬢番として扱われる男は、彼女の交友関係についても主だったところは把握済みだ。
バイセクシュアルを自称したとも噂されるエルフ娘の友人であるとか。日本まで追いかけてくるほど執心の某有名自衛官であるとか。幾つかの顔とプロフィールを思い浮かべては、プライベートでの交流などありもしない自分に秘処を晒す、この有様と照らし合わせる。
自分たちとは違う文化における貞操感とはと、皮肉げな気分になりもしよう。
「どっちかっていうと、そいつは男のスケベ心を良く心得てるってやつじゃないのかねぇ……」
苦笑交じりのそれを、うっかり本気の質問だと思われたら。『研究した』と、真顔で詳細に返してきかねない。そんなブレーキの壊れ方をしているとも感じるのだ。
いかにも撮影しやすく、だろう。可憐なラヴィアを両方、割り開いておいて。現代科学における魔法理論のパイオニアともなりつつある早熟の才媛は、ズームするレンズに、窮屈な膣への入り口に存在する確かな処女膜を――度々見せつけまでする。
そうして興奮に赤くなった貌でうっとり微笑むのである。
つぷつぷとそこ、膣奥へは開ききらない入り口に小指の先を食ませて、愛液ごと抜き差しして粘膜をこねり『ん……んぅ……んんっ……』と、身悶えるのである。
「い、悦い……。やはり、貴方に撮らせながらが……一番効果的」
自分の感じる場所を自分で刺激しているのだから、アクセルを踏むか緩めるかも思うがままだろう。
「ハッ、ハッ、ぁ……あッ、あっ……」
震える吐息がいよいよ忙しなくなっていく。
「そうかい? そいつは光栄だぜ、お姫様。カメラマン冥利に尽きるってもんだな」
「私はお姫様ではない。皇女なら……他にいるのだから」
他愛もない軽口のつもりだったが、彼女には思い起こされる誰かがいたらしい。想起させられた何かを紛らせるためにか、更に積極的に快楽を貪るように。下腹部の秘苑をまさぐる指先へ、卑猥な水音を立てるのを激しくさせたようだった。
「ンぅっ、っッ、っあ……! アッ、アッ」
レースだのフリルだのの装飾のない簡素な水着の胸元に今やぽっちりと浮かび上がっている、この幼い天才少女の勃起乳首。普段の雰囲気からは一大変貌を遂げて背徳的なそこをカメラに収めるべく、男はもっと近くへとにじり寄った。
そうしながらわざと少女の顔の方にも距離を詰めて、Gパンの固い生地をこんもりと盛り上げる自分の股間も見せつけてやるのである。
「…………」
局内で鉄壁のクールさで轟くレレイ嬢が打って変わってのオンナの顔をして横目で見つめ、ごくりと生唾を飲んだところを、男はまた撮った。
「……大きい」
「そりゃ、な。あんたの子供みたいなそこじゃ、まだ飲み込めないぐらいデカいんだよ」
「……見え透いている。その挑発では……ンあっ、あっ……あなたの欲望が満たされることはない」
「欲望、ときたか」
肩をすくめる男だが、以前に似た内容のやり取りを交わしたことも思い出していた。
その時は、この意外にも性悪な小悪魔だったらしい白銀の美貌は、『挑発は無駄』と口にしていたのである。
(その挑発では、ねぇ)
頭の回転の素晴らしい少女である。言葉の選択に意味がないということはあり得まい。
予感させるものがあった。
火遊びじみていても、一線を越える素振りは一度たりとも見せたことはない。そこを男が弁えていたからこそ、続いてきた付き合いだった。
だが、翡翠の色の深みを増したとも見える、欲望に虞れを知らない瞳だ。
際どく。少し確かめてみるかという気分を出し、カメラを通すことなく直に覗き込んでも、
「…………」
少女は変わらず、欲深な瞳で視線を受け止めている。
(おいおい、こいつはひょっとするぞ――)
じっくりと楽しんできた「旨味」に、さらなる将来の展望を思い描いて。いきり勃ちを増す股間に、男は不覚なぐらい意識を持っていかれたのだった。
「な、なぁ? 魔法使いさんよ。そういやあんた……その、臭いを誤魔化す魔法使ってただろ?」
「その通り。後始末は大切。貴方以外、余計な人間に気付かせるつもりはない」
さりげなく男を特別扱いする台詞を吐いて、自尊心を擽ってくる。
これも意識的になら、先々が末恐ろしいというものだが。
ともあれ今は、ここまで特別扱いして貰っている寵愛ぶりにひとつ賭けてみようかと、男は考えたのだった。
きっとこの、自分よりずっと頭のネジが外れてしまっているに違いない娘だって、断るどころか喜ぶに違いない。
リクエストをさせて貰ったところで逆鱗に触れることなく――イケるだろう、と。
「だったらさ……」
◆ ◆ ◆
そうして、何食わぬ顔で現実の時間が再開された時。
素知らぬ顔でビーチチェアに腰掛けていたレレイと傍らのカメラマンに、何かの不審を覚える者は誰も居なかった。
まさかその直前、たとえば写真ももうまともに撮れているか疑わしいぐらい、秘部に接近したレンズの端で、レレイがしこり勃った姫粒を小突かれ、
『ハァッ、アッ、ア――ッッッ!!』
と、甲高い声を響かせてのアクメを味わっていたことも。
たとえば、絶頂後の虚脱にうっとりとしているその顔近くににじり寄った男が、ズボンから取り出した勃起をレレイの眼前で激しくしごいていたことも。
彼女がさんざん挑発して膨れさせたマグマのような白濁のシャワーを、そのまま蕩けきった恍惚の美貌に浴びていたことも。
全ては、レレイの奮ったファンタジーの力、〈魔法〉によって、現実からは痕跡を残さず消し去られてしまっていたのだから。
そして何食わぬ顔で男がレレイに手渡す、カメラのメモリーカードと共に、少女の掌には一枚のメモが押し込まれていたのだった。
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(5)