Diver's Corruption

Original text:引き気味


『 03:最大加速・幼馴染放置Route 』


 ――暫くの後。あるいは、さして間も置かない内に。
 今日も大勢のダイバー達で賑わうGBNのシティストリートを、人の流れから離れる方向へと進む二人の人影があった。
 どこに繋がっているでもない、街並みのただの雰囲気作りとして作り込まれた路地裏マップ。室外機型のオブジェクトが雑に幾つも設置され、機能を伴わないテクスチャ配管が這い回る壁に挟まれたそこへ、勝手知るように入り込んでいくメイの長身。
 長い黒髪が揺れる後を追うヒナタも、人目を気にしつつ更に細くなっていく小路へと滑り込んでいく。
 やがて行き止まりかと思えた暗がりに、こちらへ呼びかける声とともにポッと光を放つ小さな空間投影ウィンドゥが開き――。

「ビルドダイバーズの皆さん!」
「いつも済まないな。……それにしても、今日喚んでくれるのはマイヤだと思っていたんだが」
「いえ。姉さんも石版の使い方勉強してるっていっても、これは僕の大切な役目ですから! それに姉さんは、カザミさんがお客さんだっていう女の人と一緒に先に飛んでったの見送ったら、なんだかイライラしはじめて。後は僕に任せるって村に帰っちゃいました」
 かつて惑星エルドラから旅立っていった先住民、〈古き民〉。彼らの残した遺跡を用いて呼び声を届かせ、GBNからの来訪者たちを召喚する〈新しき民〉のフレディ。犬に似た容貌を持つ獣人種族の少年は今日も元気だ。
 何も知らない弟は、姉の不機嫌の理由も分からずにぱたぱたと尻尾を振っている。
「そうか……」
 偶然に近い切っ掛けがあったとはいえ手引きになるものも無し。それで、遺跡システムのコンソールたる石版の操作法をある程度解明してしまった少年は、実際大したものではあるのだが。同時にそこには一種の残念さが漂う。
 口に出しかねる気まずさをひとまず放置し、モビルドールのメイに相乗りする形で二人は遺跡から飛んだ。
 目指したのは再興しつつあるエルドラの都市の中でも、彼らが特に快適な宿を見つけておいた場所。
 住人達を驚かせないように、あるいは必要以上に目立たないように。そっと町の端に着陸した後は、フードを被って獣人達の雑踏に紛れ込む。
 到着した頃には、やはりもうカザミは始めてしまっていた。


◆ ◆ ◆


「よぉ! 遅かったじゃねぇか」
 カザミとベッドの端に並んで座り、隣から身を乗り出すように背を屈めて、その可憐な顔を青年へのフェラチオ奉仕に差し出していた少女。淡い空色の髪を揺らす彼女のことを、メイは『姉さん』と呼んだ。
 男の股間に口元を寄せ、猫がミルクを飲むように盛んに舌を動かしていた最中だった所だ。
 頬に掛かった髪を掻き上げながら顔を起こした彼女は羞じらいを浮かべ、特に殆ど初対面に近いヒナタには目を合わせづらそうにしている風だったが、
「なぁ? 前に言っただろう? メイと姉妹レズさせながらヤってやるとこ、アンタに見せてやるって」
 ほら、ビルドダイバーズのサラさんだぜ。そう言って。
 首元を一周する襟の部分で白いドレスの胸元を吊ったホルターネックタイプの衣装から、彼女が涼し気に露出させた肩と背中。その見るからにすべすべとしていそうな素肌をしきりに撫で回す、セクハラ中年めいた手付きをしていたカザミが、ヒナタを手招きしたのだった。
「ほらほら。俺は約束守ったんだから、次はアンタの番だって。見せてくれよ。巫女さんらしく、ちゃんと履かないで来てくれてんのかどうかってトコをさ」
 こういう場面になると視線には敏感になってしまうヒナタだったから、隣のメイもこっちを向いたのが分かった。
「……こ、ここで?」
 当たり前だろ、とカザミは頷いてみせる。
「どこも何も、ラブホだぜ? ここ」
「いや、その……そういう意味じゃなくて。もうって言うか、いきなりって言うか……そういう意味で……」
「あぁ……!」
 合点がいったと、いかにもなオーバーアクションで頷いてみせてカザミは立ち上がると、いきり立った股間をそのまま、ヒナタのところまで歩み寄った。無造作に手を伸ばし、居心地悪そうに顔を逸していた顎を掴まえて、彼女の唇を奪ったのだ。
「ンッ、んんン――」
 恋人じゃないんだからと、スワッププレイで躰を開きながらもキスを拒んでみせたヒナタはもうそこには居なかった。
 GBNのアバター姿ではヒナタよりも背の高いカザミに、顔を上向かせて応じて、
「ちゃんとムード作りってやつから始めねぇとな。悪いな、気付かなくってよ」
「そんな……私から催促したみたいなこと――」
「そうか? ま、どっちでも構わねぇよな。どうせやること変わんねぇんだし」
「ああン。んぁ、アッ」
 何度も何度も繰り返し舌を絡め合って、唾液を流し込まれる口付け。こくこくと喉を鳴らし、潤んだ瞳は見る間にうっとりとしていって、服の上から押し付けられる屹立の感触にすら陶然とするかのごとく。
「んー……。こんだけ生地が重なってると、パンツラインもなにも分かんねぇか」
 遠慮しないカザミの好きにさせてヒップをまさぐられていた少女は、そうして直ぐに素直になって、三人が見守る中で緋袴風のスカートを床へするすると脱ぎ落としたのだった。
 その後に残っていたエプロン状に前裾が伸びた上着の合わせも、もじもじと頬を熱くさせつつ左右に開いていって。まるでカーテンを開くように。
 皆の視線が集まる只中、到底手早くとも堂々ととも呼べないぎこちない動きながら、けれどもはっきりとした意思のもとでその部分を開陳していく。
「ぁぁ……っ」
 羞じらいの色は濃くなるばかりだ。
 ぴったりと太腿を閉じ合わせていくらかでも庇おうとする踏ん切りのつかない立ち姿ながら、ヒナタのスリムな体型ではそれでも股間に逆三角の隙間が出来てしまう。
「あぁっ。やだ、メイさん――」
「なんだ、ここまで来ておいて隠してどうするんだ」
 メイが顔の高さを合わせてしげしげと覗き込もうとする――そこまでしなくても、見て取るのは容易だったろう。
 控えめなアンダーヘアを頂きに載せた恥丘にぽってりと粘膜を充血させた小淫唇が閉じ合わさった、ヒナタの女性器が、その逆三角形の隙間空間につぅっ――と雫を滴らせる。そういった楚々とした淫らがましさ。
「おほっ。なんだよ、メイと来る途中で盛ってたりしたのか?」
「いや、私は操縦に専念していたぞ」
「だったらあれか。ノーパン状態で街の中歩くのにコーフンしてたってわけか。いや、悪ぃなサラさん。ウチのフォースの女共ときたら、とんだ淫乱揃いでさぁ」
 ヒナタの濡れ具合を確認して何か得心しているのかしきりに頷く様子を見せている一方、落ち着かない素振りで自分の唇を舐め回したり、ぴっちりとしたボディスーツが素肌に張り付いた太腿をもぞもぞ捩り合わせているメイや、
「んぁ。ぁ、ぁ、ぁ……」
 ノースリーブの肩口から潜り込んできたカザミの手に幼い少女のように殆ど膨らみの見当たらない胸をいじくられ、ドレスの胸にぽっちりと乳首の立ち上がった輪郭を浮かばせているサラが、けれども二人共とてもバーチャルな存在とは思えない程の生々しい欲情に濡れた眼差しを、ヒナタのそこに注ぐままで。
「そんな、じろじろと見られたりしたら、私……」
 同性の二人が向ける強い関心の、遠慮の無さが、透き通った蜜を秘所に滲ませたヒナタの落ち着かない息遣いを(はぁっ、はぁっ、はぁぁっ――)と、ますます上擦らせていくのだった。

 そして一人余裕ぶったカザミが、挨拶みたいなベーゼを与えられてヒップをまさぐられただけで火が点いてしまったヒナタを他所に、ベッドの所まで戻って腰を下ろす。
 切なげな衝動をいよいよ募らせるばかりだと一目瞭然だったサラを、膝に抱き寄せる。
「あっ――」
 どこか幼気な容姿でありながらGBNの重鎮フォース中心メンバーでもある、普段はしっとりと淑やかな雰囲気さえ漂わせる彼女。そのわりに意外にも大胆で、活動的な、肩や背中を剥き出しにしたイブニングドレス風コスチューム。そんな無防備さを補うものなのだろうゆったりとした上着は群青色の、白いドレスに合わせた爽やかなコーディネイトであったのだが。サラは普段からそれを半分以上を肌蹴けさせ、ストールのように扱って。結局、肩は剥き出しにしたまま気にすることなく出歩いている。
 それはもう男共の視線も集まるだろうよというわけだ。
 先程はカザミの屹立に唇を捧げてフェラチオ奉仕を続けている間中、そこをずっと手遊び道具代わりにされて撫ぜ回されていた。
 剥き出しの肩。丸出しの二の腕。下手をすれば乳房の膨らみが始まる部分まで見て取れる脇のあたりまでも。
 そのすべらかな肌触りや、優美なカーブを描く肩甲骨が浮かび上がったあたりから背筋までを刺激されるほど、ゾクゾクと快感のさざ波が走り抜ける肌の粟立ちぶり。そういったものをさわさわと確かめられ、カザミに愉しまれてしまっていた。
 現実空間に生身の肉体を持たない電子生命体なればこそか、ファンタジーにおける妖精さながらに男達の妄想そのままかというぐらいの美しい容姿が、いっそまさしく始めからそんな醜い欲望の供物となるべくここに顕現していたとでも言うかのように。
 実際、フォースリーダーとの熱愛関係で知られる彼女を背後からすっぽり腕の中に収めてしまったカザミは、喜々としてまたそこに唇を寄せ、不貞の証のキスマークを刻みつけたり、舌を這わせたりしている。
 実に楽しそうにだ。
「ンぁ、あっ、ひゃう!? アッ、あぁぁっ。そんなぁ――」
 そうしている間中にも控えめな膨らみの胸元や太腿のあたりなど、敏感な箇所を好き放題にまさぐられていたサラが声を上げていく。
 最初に発見された電子生命体、最初のELダイバーである彼女が、多くの人々と交流を持つようになって数年。見違えるほどに大人びてきていても、未だ童女を思わせるあどけない表情を見せていることの方が多い彼女が、この時ばかりは却って艶めかしい。
 この不埒者を歓ばせるような媚態としか言い表せない声色の悲鳴で、くねくねと身じろぎを繰り返す。
 服を脱がすまでもなく、サラの無防備なコスチュームはカザミがあちこちに手を伸ばしていく何の障害にもならない。
 さっきと同じでまた、乳房と呼べる程でもないささやかなバストのすぐ脇で大きく開いたところからカザミの手がドレスの中に忍び込み、充血してコリコリとしこり立っていた乳首をいじり始める。
「あっ、だ、ダメ……っッ。そこを、されちゃうと……っ」
 青年の胸で大きく喘ぎ、上半身を仰け反らせれば。思わずヒナタが注目してしまったほどの、二つの乳首の尖りよう。
 ドレスの白い生地にツンと。発育の乏しい平坦なバストのそこながらいかにも欲深に自己主張してみせていたのが、目を引いた。
 初めて直に顔を合わせるこの有名な少女の、GBN中に知られたイメージから随分とかけ離れた淫らさが、或いはそう仕立て上げられたもう一つの貌が、ヒナタの衝撃を呼ぶ。
 この美しいELダイバーの周囲にいる面々にしてみれば、日頃から心配が尽きないでいたことだろう。なにしろ彼女はGBN中から注目された数年前からするとぐっと魅力を増していて――それでいて、危なっかしいぐらいの行動的なところは変わることがない。大胆なコスチュームを大して改めもしない。物怖じすること無く様々な機会を捉えては新しい知己を求め、フレンドリストに登録されたGBNユーザー名を増やしていった。
 それは、無自覚に男を誘っているのと変わらなかったのではないか。
 結果として惑星エルドラにまつわる一大騒動を経て知り合ったこのカザミという青年の元に、今やフォースメンバーにも恋人にも隠れてこうして通っている始末。
 無論、一緒にお茶を飲むだの、ガンプラバトルに興じるだの、そんな目的であろう筈がない。
 GBNの倫理規定、行動制限システムの及ばないエルドラを密会場所に指定されて呼び出されれば、すぐに求められるのは躯を開くこと。たとえ別の女性が居合わせる前でも、この多情な青年との浮気行為に応じることだ。
 だが、そのことを彼女自身がどう受け止めているのか。
 先程からヒナタは驚かされるばかりである。
 名の通った実力派ダイバーの傍らに寄り添い続ける姿がよく知られる、貞淑な若妻めいたパブリックイメージ。そこからすると対極にあるふしだらさで、寧ろ喜んで愛撫を受け入れているこの、淫乱とすら呼んでしまって差し支えなさそうな横顔は。
(きっと、多分……)
 彼女のこの淫らな、隠された側面を引き出したのは、ガンプラバトル界隈中での公認カップルたるあの勇猛なダイバーではあるまい。
 だったとしても、ヒナタには共感めいた納得があった。
(同じ、なんだ)
 振り返ってみれば、ほんの僅かの間で抜き差しならない色々なことを許してしまい、このドン・ファン気取りの若者を取り囲む女達の一人になっていたヒナタでもあったのである。
 見ていれば『ぁはあぁぁ…』と、サラの愛らしい唇から小さくそっと淫靡なため息がついて出ていて。いかにもそれが思わずといった、得も言われぬという風の表情であって。
「そろそろお預けも良いか?」
 力を漲らせてそそり勃つ肉の剛棒で、膝の間に座らされて元から密着していたサラ自身の股間を後ろからに小突かれ、促されれば、
「うん。わかったわ」
 隠しようもない喜悦で、口元を綻ばせるのだった。
 屹立が太い血管が浮かび上がらせて待ち構える上へと腰を浮かせ、スカート部分までワンピースになった白いドレスの前を捲り上げる。
「あっ……」
 ヒナタの、今度もまたやはりという納得。
 足先までをずっと覆って見えたスミレ色のタイツに一点、シミが滲んでしまっている。丁度下腹部の中央のところ。
 可憐な少女の内側で膨らみ上がっていた、淫らな欲望の徴だ。
 そこに縦に切れ目が入れられていたのが、白魚のような指先についと開かされる。
 それだけで直接、タイツに恥液の湿りを広げさせていた源たるサラの媚裂器官が直に姿を見せてしまう。彼女も下着を着用してはいなかったのだ。
 正確には「着けずにいさせられた」だろう。
 お姫様みたいな美貌をしたGBNのアイドルのこの乙女も、実態はカザミに手を付けられた一人であるのなら。彼好みの破廉恥なコーディネイトをどこかで潜ませていないわけがなかった。
 ELダイバーであって人間と同様の排泄を行わない彼女ならば、着衣のままただちに股間のクレヴァスを露出してしまえるその切れ目が入った用途は、ただ一択。
「んっ……」
 股の間からカザミと自分、お互いの欲望に逸る器官の位置を確認して。愛らしい顔つきを緊張させていたサラは、更に頬を赤らめた。
 ちらちらと横目にメイやヒナタを意識しながらも、ゆっくりと後ろ向きに跨っていって。やがて最後まで下腹部を沈めていく。
「ぁぁあ、ぁ、ぁあ――」
 ずん、と膣奥まで届いたのだろうところまでカザミの股座にすっかり腰を下ろしてしまい、途端内腿が引き攣ったように動いた。
 そこで再度、熱い息を漏らす。
「ふわぁぁ」
 歓声はまるで小鳥の囀り。可憐な声の。
 けれどもヒナタが目の当たりにしていたのは、幼女じみたつるりとしたサラのスリットが、毒々しい色に淫水焼けしたカザミのペニスを懸命に飲み込んでいったところだ。
 そうして、ストールのように肌蹴けさせた上着を肘あたりにまとい付かせた、いかにも若妻風の着こなしの――それがこんな場面ではなにやら拘束めいて見える、彼女を。
「ン、んあんっ、あん……ぁ、ひゃあンンっ!?」
 おずおずと躯を揺らし、牡の生殖器が自分の媚肉を甘やかに拡充しつつ深くずっぷり嵌入していることを、感触で確かめていた少女を。
「っア、ぁッ、あっッ! ぁ、ま、待って……!?」
「へへっ」
下から小突き上げる荒々しい抽送で一気に、敏感過ぎる膣奥まで攻め立てだしたのだろうカザミ。
「くぅーっ。相変わらず、きっつきつの……。なぁ、サラさん? こんなおちょぼ口のちんまりマンコじゃ、俺のこのハイパぁーメガっ! なチンポ、こうやって銜えまくってたりしたら。あっという間にサイズ変わっちまって、旦那さんにバレちまうんじゃないかい?」
「あふ、ッ、んン……。こんな、時まで、そんなおかしな言い方したりして……」
「おっと失礼。てことは、もう奥さんには無用の気遣いだったってわけかな? 緊張を解して差し上げる、小粋なジョークってやつは」
「もう、今度はそうやって、困らせるようなことを言うのね」
 そうさせたのは貴方でしょう? とでも言いたげな顔に、少し膨れてみせて。首を青年へと振り返らせたサラは、早くもぐずぐずに蕩かされた蜜壺と化した膣を撹拌される快感で息を弾ませながら抗議する。
 口ぶりから伝わってきたのは、サラにもそうやってカザミが冗談を飛ばしてやらなければならない時期があったということだった。
 ムード作りに配慮する。或いは、宥めすかす。そういった段階をここまで順繰りに踏まえてきたのだろう。
 それはそうだろう、そういうものである筈だ。妙な話だが、ヒナタはほっとしていた。

(この人だって)
 彼女にも本来は、ちゃんとした相手が他に居る。
 見るからにお似合いの凛々しい若者で、言葉遣いは礼儀正しく、受ける印象は優しげで誠実な。既に伝説である〈ビルドファイターズ〉のリーダー。
 これでサラはいかにも恋多き風のだとか、お尻の軽いといった女の子には見えないのだから。こんな爛れた乱交関係に嵌まり込んでしまう以前は、そのひと一人にだけと一途に決心していたに違いないのである。
 見るからにお調子者、軽薄さが先行しているタイプであるカザミなんかとはだ。たとえ接点が出来ることがあっても、そこからまさか――心に決めていた筈の相手を裏切って、躯の関係を結んでしまうまでになるとは。
(サラさん……)
 童女のようにちんまりとした唇を大きく開けて使って、先走りの牡汁を垂らす肉柱に奉仕していた。ピンと立たせた乳首を摘み転がされて、あからさまな女の顔で喉を喘がせていた。挙げ句この楚々とした女の子が自分からカザミと繋がるために跨っていって、今や懸命に腰を振っている。
「アッ、アッ、アッ!」
「よぉ〜し、良し。アンタのちっけぇ体じゃ俺のなんて半分ぐらいしか入んないけどさ。勢い付けて、思いっきり突っ込ませてやってくれよ」
「うん、うんッ! ンぁッ、アッ、ぁふぅぅンン!」
 素直に頷いて、そう体力も無さそうなほっそりとした体つきを勢い良く躍らせるのに一心になりだしたサラは、居合わせているこちらの目からすれば詐欺師紛いな最悪男に引っかかってしまっているとしか思えないのだが。
 それをヒナタがどの口で言えるだろうか。
「おっほ、良いね、良いね。もしもの時はさ、旦那さんにもこの必殺テク披露して黙らせちまえよ! 貴方のために覚えてたきたの、な〜んて言ってさ」
「……まったく、ヒーローを目指す口から出るセリフではないな、カザミ。お前の場合今日に限ったことではないが」
 常に姉贔屓なメイもそこに口を挟んだ。
「元より、このエルドラの存在がGBNプレイヤーの行動を縛る倫理コードへの抜け穴になっていることを、我々が他に漏らさなければ済むことだ」
 それにと、メイは一度傍らにいるヒナタに目をやってから、一瞬で自分のコスチュームを消し去った。
 エルドラ上においてメイ達やカザミのような地球人が活動する際の肉体は、〈古き民〉の遺跡に残されたナノマシン状粒子、〈エルドリウム鏡砂〉によって構成される、仮初のものだ。
 そして、その見た目はGBNでのアバターに由来する。
 GBNことガンプラバトル・ネクサスオンライン内に誕生した電子生命体であるELダイバーなれば、その処理能力をもってある程度の干渉、操作が可能だというわけだ。
「えっ?」
 たちまちにして全裸に変わったメイの姿を見て、ヒナタがぎょっとした。
 メイはただ裸になってみせただけではなかった。肉の躰に備わる本能とは無縁そうな存在であるにも関わらず、見事なセックスアピールを放つその豊満なバストの頂きに、先日のスワッピングプレイ中には見られなかった筈の異変が生じていたのだ。
「メイさん、それ――」
 うむと、さしたる表情の変化もなくメイは頷いた。
 無造作に乳房へとやった指先でそれを揺らしてみせる。
 金属の輝きを放つ細いリングは、指の先ほどに膨張したメイの乳首を貫通して取り付けられた環状ピアス。更にはそこから重たげに乳首を引っ張って、ぴかぴかに磨かれた金色をしたピアスヘッドの、薄いレリーフ型アクセサリーが揺れている。
 右の乳首にも、左の乳首にも。
 デザインは丁度カザミがコスチュームの胸に付けているのと同じ、十字の星のマークだ。
 あからさまなマーキングというか、カザミの歪んだコレクター欲の顕れと言うべきか。
「胸だけではないぞ。ヘソにも付けさせられたし、終いにはこの男ときたら私のここの――」
 軽くガニ股になって股間を指し示し、三人の少女たちの中では一番に大人っぽく生え揃った黒い茂みを掻き分ける。女そのものである部分をさらけ出す。
 メイの性器からは以前よりもずっと厚ぼったく肉厚になった二枚の小淫唇がはみ出していて、それらと同じく莢ごと肥大化したクリトリスの突起と、都合3箇所、やはりリング状ピアスが取り付けられていたのだった。

「勿論、普段からこんな物をぶら下げていたら、私のあのコスチュームではGBNのロビーも歩けない」
 つまり、実際に服の下に付けていたのとは違う。データ上の服装レイヤーを解除したのではなくて、切り替えたのだとメイは説明した。
「いわばエルドラでのこういう場面限定で特化した、別のアバターを新調したというわけだ。姉さんがフォースの仲間に成長を合わせてみせているのと同じだな」
 目を丸くしているヒナタに詳しい説明の必要を認めたらしく、メイは何度か元のコスチューム姿とピアッシングされた裸を切り替えてみせた。
 更に一旦元に戻った上で普通にコスチュームを脱ぎ、そのヌード姿と新たなアバターでの裸を交互に、ぱっ、ぱっと。殆どもう変身だ。
 そうしてみると真っ先に目を奪った卑猥な場所のピアス以外にも、二つの裸身には違いがあるのが分かる。
 例えば元々からボリュームと張りを兼ね備えた美乳だったメイのバストが、切り替えた方では更にたっぷりと重量感を増している。
 乳輪の輪郭も乳首自体もサイズが膨らんでいるのは錯覚ではなかった。
 そして、その色ツヤも。
「私や姉さんみたいなELダイバーは、お前たちの世界で暮らすために使っているモビルドールの躯体を、ガンプラバトルではMSモードのアバターに変更して使用しているんだ。外観データの使い分けには慣れている」
 それを良いことに、と。目を尖らせて睨んだのは、サラの座位奉仕に任せて悠々とした態度でいるカザミ。
「――やれ、乳首やここの色は濃い目でエロくしてみろだの。もっと肉付きの良い尻にしろだの。挙げ句にこういういやらしい場所はピアスを取り付けやすいように、どうせならいかにも経験豊富そうな見た目にしろだのと」
 しみじみと呆れた口ぶりで、『この男ときたらどういう趣味をしているのだ?』とボヤく。
「なにがユルユルになってバレたら、だ。お前と過ごす時の専用アバター導入を前提に、私や姉さんにこういう遊び方が出来ると誘ったのはお前だろうに」
「え? それじゃサラさんも、そんな感じの――凄い格好になったりしてるの……?」
 サラが露骨に羞じらって、顔を背けた。
 すらりとしたスレンダーボディの全部を躍動させて、ぐっしょりになったクレヴァスを下から串刺しにされるカザミとの媾合に耽溺している風だったが、完全に聞こえていないわけではなかったようだ。
 彼女がどんな姿に変身させられているのか。それはそれで見てみたいなと思ったヒナタではあったが、それよりもは自分にとっても他人事でない事柄についてだった。
「それって、私にも出来たりすることなの……?」
「いや、すまないが……。私達とお前達では事情が違うからな」
 その代わりに伝えられたのが、用心しろよという忠告だった。
「エルドラのその身体からのフィードバックを、地球からアクセスしている本物のお前は取捨選択したり、ブロックしたりは出来ないんだ。この男の言うことを何でもほいほいと聞いていたら、最後にはどんなことになっても知らんぞ?」
「おいおい、メイぃ〜。変な脅し方で後輩怖がらせるとか、性格良くないんじゃないか? みんな愉しんでやってることだろぉ。お前にも、サラさんにも、別に俺は無理強いしたりした覚えはないからな」
 慌てた素振りでカザミが止めに掛かった。
 一線を越えた感しかしないメイの姿に、息を呑んで引き込まれているとも、単にドン引きしているともつかないヒナタの反応だ。
 余程マズいと思ったらしい。ヒナタの関心をこの理性を投げ捨ててしまっている乱痴気騒ぎに引き戻そうと、思いついたように指を鳴らして提案する。
「そうだよ! 丁度いいじゃん。折角メイが披露したところなんだし、サラさんのドエロいところも見てみたいだろう?」
「えっ!?」
「メイが色々試してくれて、相当自由に変えられるって分かってたからさ。かなり冒険しちゃったんだよな。なぁ、サラさん?」
「えっ、えっ? でも、その……っ」
 ギョッとしたのは今度はサラだったが、結局は押し切られてしまった。それまで鷹揚に構えていたカザミが攻めと焦らしを猛然と交互に、手管のフル回転で説き伏せに掛かった結果、絶頂寸前のやるせなさに頭を一杯にされてしまった彼女は、泣き声混じりで首を縦に振ってみせたのだ。
「わっ、分かったから。分かったからぁ――!」
「じゃあ、ここで一発満足させてやった後は、今日はずっとあの格好でいてくれるんだろ? メイと、姉妹二人一緒にさ。新しい後輩に色々と教えてやってくれよ。いっそヤバ過ぎるってぐらい危ない火遊びの方が、ここも、ここも……ビンビンになって感じちまうってさ」
 息を乱して追い詰められる少女の胸の先や、ペニスの突き刺さったすぐ上でピンッと尖っていたクリトリスをも嬲り責めにされれば、一堪りも無かったのである。
「許して! もう、許して! 見せる……見せるから。わたっ、私のあの、恥ずかしい格好。ヒナタさんにも見せるからぁ……!」
「へっ、へへっ……。よし、良い子だッ。イケよ、イッちまって良いぜ!」
「――アッ、アぁぁーッッッ!!」
 大男の腕に抱え込まれて、まるでおしっこをさせられる幼女のような格好で全身を絶頂に悶えさせたサラは、愉悦する股間に飛沫を吹いてすらいた――。

(っッ、うわ、うわぁ)
 一部始終を固唾を呑んで見守ってしまったヒナタの唇からも、声が零れそうになっていた。
 ごくりと喉が鳴っていた。
 それは羨望を滲ませたものではなかったか。
 だからヒナタは、傍らのメイと同じにいつしか欲情に綻んだ自らの淫らな花びらの場所をくちくちと、指に慰めさせていたのだった。
 メイの姉である少女が、カザミとの密会の為だけに誂えさせられた変態的なアバター姿の披露を迫られ、激しく責め立てられる――それで淫靡に泣き咽んだ絶体絶命の悦がり顔を、目の当たりにして。
 これまでのヒナタの、切なさが募ったような夜、ずっと思い浮かべていた幼馴染の顔が脳裏を過ぎりもしたが、寧ろ振り切ろうという風に手を激しくさせていって。
 ポタポタと床に雫が垂れてさえいた。
 サラ達が未だ一枚も着衣を脱がないままの気忙しい荒々しいセックスで貪り合うのに、濡れた瞳を注ぎ続けて。シンクロさせるように一気に上り詰めるところまでメイと二人、ハァハァと喘ぎ続けたのだった。

 そうして、サラから言質を勝ち取るのと同時に一戦を終えたカザミが、まだまだ余裕のある顔を勝ち誇らんばかり、ニンマリとこちらを振り向いてきた時に。
 咄嗟に媚びた笑顔を作って。
 おそらくはそう、青年が望んだ通りの。彼好みの。自分の方から積極的な、淫らな女の子を演じようとヒナタがしたのは。
 それが最善だったからに違いなかったのである。
 気配の濃さを増していく淫蕩の予感に、琥珀色の瞳をうっとりと蕩けさせた貌で。無言のまま視線を強めたカザミに応じるようにしてしとどに濡れそぼった場所を、ほらと、どうぞと、自分で指で開いてみせたのもまた同じく――。





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From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(5)